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2015年03月09日 12:00
PTAミッション・インポッシブル〜その6 ミッション・コンプリート!
 ( あさ月さんのプロフィール)
(※続き物です。未読の方は先にこちらをどうぞ その1→■ その2→■ その3→■ その4→■ その5→■)

もう一人の本部選出委員須藤さんはその時のことをこう振り返る。
「おおっ、安田さんもうここで言うんだ~?!と思って。急な話で事前に打ち合わせができなかったからいつ言うのかわかんなくって」
「そうそう、でも早見さんが『俺が立候補』とか言っちゃったらややこしくなるから、もう常任委員の順番が終わったら即言おうと思って構えてた(笑)」
「それ正解だったね」


「清水会長が?誰に?」
予期せぬ「候補者」の登場に苛立ちを隠せない様子で早見さんは問う。
「え、えーと、誰かはまだちょっと結果が未確定なので言えない…らしい、んですけど、でもあのたぶん今週末までには決まるそうなんで…」
「なんかはっきりしないな。会長に直接聞く」
早見さんは携帯電話を取り出し、清水会長に電話した。


「そう、いきなり電話かかってきてさ。でも俺ものらりくらり答えて曖昧なことしか言わねえしイライラしてたね。『俺が責任を取って立候補するつもりで』とか言ってたけど知らねーよw大体選出委員長ってそういうんじゃないし。責任を取って立候補って意味わかんねえからw」


清水会長の声掛けの結果を待たなければ候補者は確定できない、ということで選出委員会は中途半端な形で終わった。
その夜、早見さんからあさ月たち一年目役員にメールが来た。

<本日選出委員会で全候補者を確認する予定でしたが、安田委員より清水会長が会長候補者に声掛けをしていると発言があり保留となりました。このことで色々予定がずれる可能性があります。一年目役員の皆さんに迷惑をかけてすみません>

さらに副会長であるあさ月と、書記の室井さんには補足メールも来た。

<総会の流れにかかわってくるので、選出委員会の詳細を伝えます。
本日会長以外の候補者は選出委員会内で承認を得、会長は選出委員から候補が出なければ早見を候補として了承を得た上で、学校と本部役員への報告、候補者リストの配布を26日に行う予定でした。
しかし先のメールの通り保留になりました。会長にも確認しましたが、どなたか知りませんが声かけをしていて週末には決まるそうです。どうなるかわかりませんが、少なくとも予定は後ろにずれます。候補者の確定が委任状提出期限に間に合わなければ委任状の提出期限延期も考えなければいけませんが、清水会長はそれについて特に言及しませんでした。
立候補者への総会出席依頼も、選出委員会で確認できていないのでできません。
とにかく予定が狂っているので対応を考えないけせ。>

予定、というか自分のシナリオを狂わされたことへの苛立ちからか、最後日本語が変になっている。
「早見を候補として」ってさらっととんでもないことを言ってるし。

(しかしまあ、これをその「どなたか」が読んでいるとは夢にも思ってないんだろうな~)


本部選出委員の二人は口を揃えた。
「うん、全然思ってないと思う。私たちだって会長から聞いたとき全然考えてなかったからびっくりしたもん。
緑川さん?!って」

清水会長の声かけの相手。
土壇場で切ったカード。


それはあさ月だった。


今は急転直下の選出委員会から4日後、早見さんと、都合のつかなかった木原さん・小林さんを除く全役員がいつものデニーズに集合している。名目は「緑川さんの不安を解消する会」。次期会長となる話を正式に受けるに当たって心配なことを相談したり、来年度一緒にやっていく一年目役員皆の協力を仰いだりする会(by清水会長)だ。

「緑川さんが会長になるって、大分前から決まってたんですか」と神田さん。

「いや、全然。超最近(笑)」「そう、まだ一週間経ってないですよね」

話は近隣他校との合同行事の日まで遡る。
あの日、<このままだと時間切れかな。。。>という清水会長のメールには続きにこんな一文があった。

<緑川さん、Y小初の女性会長になるかー?>

それに対してあさ月はこう返信した。

<あー、一瞬考えたんですけどね。初の女性会長。
小林さんと似たパターン(その4を参照→■)で、副会長を解任し会長へ。副会長は1年だけ別の人が引き継ぐ。
でも副会長が二人とも新人になったら困るし、かといって早見さんを留任させるのは早見さんが承服しないだろうし(任期切れになる早見さんを会長にせず任期が残る私を会長にする意味が分からないだろうし)。
それに何より私の有給が足りなくなりそうなので無理です~>

清水会長から返信。

<それだ!(・∀・)
小林さんパターンで木原さんを副会長だったらいけるんじゃない?
緑川会長!!
なんで今まで気づかなかったんだろう!どんどんイメージ湧いてきた!>

<ちょwww待っwwwww
無理っつっとろーがwww>

そこからどわーーーっと怒涛のようなメールの応酬が開始され、
・会長業務は代理も立てられるし、来年度一年はどのみち副会長なのだから有給取得頻度はそんなに変わらない
・早見さんに会長になられたらおそらく副会長の苦労は半端ない
・会長になって主導権を持ち仕事を下に振る方が楽かもよ
という説得に少しずつ立候補を引き受ける方向へ傾いていった。これが選出委員会前日夜のこと。
勝ち目ありと踏んだ清水会長は選出委員の二人に「緑川さんを会長候補として今説得している。選出委員会で誰かは言わず俺が声をかけている候補がいると言って会長候補決定を保留にしてくれ」と連絡。
そして運命のちょっと待ったコールからデニーズへ←今ここ

「早見さんは相当衝撃を受けるよね。それも内部から候補者が出るなんて」と須藤さん。
「でも、外部からはもはや出づらい状態だったんですよ。みんな早見さんがやると思って遠慮してて。だから事情を知ってる内部から出るしかなかったんです。ある意味『俺がやる』って言いふらすってすごい作戦ですよね。もう少しで負けてましたよ」とあさ月。
「だからそんな作戦を仕掛けてくるような奴を会長にしちゃダメなんだってwまあでも最後の最後まで諦めないでいればこうしてちゃんといい結果になるんだよ。諦めたら終わりだからね、うん」と清水会長。
「何ですかそのスラムダンクの『諦めたらそこで試合終了ですよ』みたいなw」


これにて一件落着とあいなりそうなこの話、良く言えば「青い鳥はすぐ側にいたんだ!」だが、どちらかというと
「ミイラ取りがミイラになった」
だよなあ、と思うあさ月であった。木原さんを会長にすべく動き始めたのに、気づいたら自分が会長だ。それもY小学校史上初の女性会長!なんとも恐れ多いがやるっきゃない…よな。

そして早見さんの「作戦」は代償が大きかった。さんざん俺がやると言い回ってこの結果はかなり恥ずかしい。自業自得なのだが…
もしこれを読んでいるあなたがPTA会長をやりたいのなら、この作戦は諸刃の剣だと覚えておくと良いだろう。
それ以前に格言「やりたい人よりやってほしい人」に当てはめると、やりたいあなたは実はPTA会長向きではない…のかもしれない?
逆にあなたかあなたの配偶者がPTA会長をやってくれないかと頼まれているのなら、特にそれが人柄を見込まれてのことだと思われるなら、なんとか前向きに検討してあげてほしい。
もしかしたらあなたの学校のPTAが危機に瀕しているのかもしれない。
それを救える幸せの青い鳥はあなたなのだ。

(ひとまず完)

   
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2015年03月09日 12:00
PTAミッション・インポッシブル〜その6 ミッション・コンプリート!
 ( あさ月さんのプロフィール)
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もう一人の本部選出委員須藤さんはその時のことをこう振り返る。
「おおっ、安田さんもうここで言うんだ~?!と思って。急な話で事前に打ち合わせができなかったからいつ言うのかわかんなくって」
「そうそう、でも早見さんが『俺が立候補』とか言っちゃったらややこしくなるから、もう常任委員の順番が終わったら即言おうと思って構えてた(笑)」
「それ正解だったね」


「清水会長が?誰に?」
予期せぬ「候補者」の登場に苛立ちを隠せない様子で早見さんは問う。
「え、えーと、誰かはまだちょっと結果が未確定なので言えない…らしい、んですけど、でもあのたぶん今週末までには決まるそうなんで…」
「なんかはっきりしないな。会長に直接聞く」
早見さんは携帯電話を取り出し、清水会長に電話した。


「そう、いきなり電話かかってきてさ。でも俺ものらりくらり答えて曖昧なことしか言わねえしイライラしてたね。『俺が責任を取って立候補するつもりで』とか言ってたけど知らねーよw大体選出委員長ってそういうんじゃないし。責任を取って立候補って意味わかんねえからw」


清水会長の声掛けの結果を待たなければ候補者は確定できない、ということで選出委員会は中途半端な形で終わった。
その夜、早見さんからあさ月たち一年目役員にメールが来た。

<本日選出委員会で全候補者を確認する予定でしたが、安田委員より清水会長が会長候補者に声掛けをしていると発言があり保留となりました。このことで色々予定がずれる可能性があります。一年目役員の皆さんに迷惑をかけてすみません>

さらに副会長であるあさ月と、書記の室井さんには補足メールも来た。

<総会の流れにかかわってくるので、選出委員会の詳細を伝えます。
本日会長以外の候補者は選出委員会内で承認を得、会長は選出委員から候補が出なければ早見を候補として了承を得た上で、学校と本部役員への報告、候補者リストの配布を26日に行う予定でした。
しかし先のメールの通り保留になりました。会長にも確認しましたが、どなたか知りませんが声かけをしていて週末には決まるそうです。どうなるかわかりませんが、少なくとも予定は後ろにずれます。候補者の確定が委任状提出期限に間に合わなければ委任状の提出期限延期も考えなければいけませんが、清水会長はそれについて特に言及しませんでした。
立候補者への総会出席依頼も、選出委員会で確認できていないのでできません。
とにかく予定が狂っているので対応を考えないけせ。>

予定、というか自分のシナリオを狂わされたことへの苛立ちからか、最後日本語が変になっている。
「早見を候補として」ってさらっととんでもないことを言ってるし。

(しかしまあ、これをその「どなたか」が読んでいるとは夢にも思ってないんだろうな~)


本部選出委員の二人は口を揃えた。
「うん、全然思ってないと思う。私たちだって会長から聞いたとき全然考えてなかったからびっくりしたもん。
緑川さん?!って」

清水会長の声かけの相手。
土壇場で切ったカード。


それはあさ月だった。


今は急転直下の選出委員会から4日後、早見さんと、都合のつかなかった木原さん・小林さんを除く全役員がいつものデニーズに集合している。名目は「緑川さんの不安を解消する会」。次期会長となる話を正式に受けるに当たって心配なことを相談したり、来年度一緒にやっていく一年目役員皆の協力を仰いだりする会(by清水会長)だ。

「緑川さんが会長になるって、大分前から決まってたんですか」と神田さん。

「いや、全然。超最近(笑)」「そう、まだ一週間経ってないですよね」

話は近隣他校との合同行事の日まで遡る。
あの日、<このままだと時間切れかな。。。>という清水会長のメールには続きにこんな一文があった。

<緑川さん、Y小初の女性会長になるかー?>

それに対してあさ月はこう返信した。

<あー、一瞬考えたんですけどね。初の女性会長。
小林さんと似たパターン(その4を参照→■)で、副会長を解任し会長へ。副会長は1年だけ別の人が引き継ぐ。
でも副会長が二人とも新人になったら困るし、かといって早見さんを留任させるのは早見さんが承服しないだろうし(任期切れになる早見さんを会長にせず任期が残る私を会長にする意味が分からないだろうし)。
それに何より私の有給が足りなくなりそうなので無理です~>

清水会長から返信。

<それだ!(・∀・)
小林さんパターンで木原さんを副会長だったらいけるんじゃない?
緑川会長!!
なんで今まで気づかなかったんだろう!どんどんイメージ湧いてきた!>

<ちょwww待っwwwww
無理っつっとろーがwww>

そこからどわーーーっと怒涛のようなメールの応酬が開始され、
・会長業務は代理も立てられるし、来年度一年はどのみち副会長なのだから有給取得頻度はそんなに変わらない
・早見さんに会長になられたらおそらく副会長の苦労は半端ない
・会長になって主導権を持ち仕事を下に振る方が楽かもよ
という説得に少しずつ立候補を引き受ける方向へ傾いていった。これが選出委員会前日夜のこと。
勝ち目ありと踏んだ清水会長は選出委員の二人に「緑川さんを会長候補として今説得している。選出委員会で誰かは言わず俺が声をかけている候補がいると言って会長候補決定を保留にしてくれ」と連絡。
そして運命のちょっと待ったコールからデニーズへ←今ここ

「早見さんは相当衝撃を受けるよね。それも内部から候補者が出るなんて」と須藤さん。
「でも、外部からはもはや出づらい状態だったんですよ。みんな早見さんがやると思って遠慮してて。だから事情を知ってる内部から出るしかなかったんです。ある意味『俺がやる』って言いふらすってすごい作戦ですよね。もう少しで負けてましたよ」とあさ月。
「だからそんな作戦を仕掛けてくるような奴を会長にしちゃダメなんだってwまあでも最後の最後まで諦めないでいればこうしてちゃんといい結果になるんだよ。諦めたら終わりだからね、うん」と清水会長。
「何ですかそのスラムダンクの『諦めたらそこで試合終了ですよ』みたいなw」


これにて一件落着とあいなりそうなこの話、良く言えば「青い鳥はすぐ側にいたんだ!」だが、どちらかというと
「ミイラ取りがミイラになった」
だよなあ、と思うあさ月であった。木原さんを会長にすべく動き始めたのに、気づいたら自分が会長だ。それもY小学校史上初の女性会長!なんとも恐れ多いがやるっきゃない…よな。

そして早見さんの「作戦」は代償が大きかった。さんざん俺がやると言い回ってこの結果はかなり恥ずかしい。自業自得なのだが…
もしこれを読んでいるあなたがPTA会長をやりたいのなら、この作戦は諸刃の剣だと覚えておくと良いだろう。
それ以前に格言「やりたい人よりやってほしい人」に当てはめると、やりたいあなたは実はPTA会長向きではない…のかもしれない?
逆にあなたかあなたの配偶者がPTA会長をやってくれないかと頼まれているのなら、特にそれが人柄を見込まれてのことだと思われるなら、なんとか前向きに検討してあげてほしい。
もしかしたらあなたの学校のPTAが危機に瀕しているのかもしれない。
それを救える幸せの青い鳥はあなたなのだ。

(ひとまず完)

   
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2015年03月06日 12:00
PTAミッション・インポッシブル〜その5 絶体絶命
 ( あさ月さんのプロフィール)
(※続き物です。未読の方は先にこちらをどうぞ その1→■ その2→■ その3→■ その4→■)

有力候補の小林旦那さんを失い、他の候補者に当たっていくが次第に状況の厳しさが浮かび上がってきた。

まず「あの人は自営業だから時間に融通が利くはず」などの条件面で抽出した候補の場合、人柄が不明である。
とりあえず選出委員がアポイントを取り、PTA会長候補として名前が挙がっていることを伝えお願いできないかと頼むわけだが、ある候補者は「PTA会長」のインパクトに頭が真っ白になってしまったという。
翌日になって我に返り清水会長のもとへ断りにやってきた。
清水会長は彼の「お断り」の理由を一つ一つ「それは~~だから大丈夫」「それはこうカバーできます」とブロックしていったそうだが、全ての理由が尽きたときの言動が「明らかにまずい」(清水会長談)ので彼を候補から外したという。
「会長に限らず本部役員としても不適当と思われた」とは一体どんな言動だったのか個人的には非常に興味があるが、とにかくそんなわけで人柄が分からない人はこのように候補として成り立たない可能性がある。

かといって人柄を知っている人には限りがある。あさ月だって長女のクラスメイトのお母さんはかろうじて知っていても(それでもお互い仕事をしていたりで言葉を交わす機会もなく、人柄までは分からない人が大半)お父さんなど顔も見たことがないレベル。他の選出委員や会長だって似たようなものだ。
唯一の例外が木原さんや早見さんの住む社宅で、会社でのつながりがあるし社宅内での交流もあるから父親であっても誰がどんな感じだと住人同士の間ではよく知られている。

が、社宅は恐ろしい状況に陥りつつあった。
日を追うにつれ社宅内の候補に声をかけると

「会長?だって早見さんがやるんでしょ?」

という返答が返ってくるようになったのだ。
早見さんが「会長が決まらなくてさー、まあ俺がやるよ」と吹聴して回っているからだ。
そうなれば同じ社宅内の人は本当は自分が会長になってもいいかなとちょっと思っていたとしても、角を立てたくないし早見さんがやるんならそれでいいじゃないかと引いてしまう。
そのうち社宅内にとどまらず学校中に「早見会長説」が広まり始め、誰に声をかけても良い返事が期待できない状況になってきた。非常に良くない。


もう2月半ばを過ぎた。タイムリミットが迫っている。3月11日にPTA総会がありそこで次期役員候補者の承認が行われる。候補者の選出は総会10日前までに行う決まりなので、候補者最終確定をするための選出委員会が2月24日に開催される予定になっていた。

選出委員会を2日後に控えた2月22日、近隣他校数校との合同行事があった。本部役員全員スタッフとして参加し、つつがなく過ごしたつもりだったが、その晩に清水会長からメールが飛んだ。

<選出委員の皆さんへ

 明後日の選出委員会の前に、委員で今まで誰にアクセスしてどういう結果だったかを共有し、他に候補者がいないかを確認してください。
 早見氏が会長になることを前提にはしないでもらいたい。

 今日も他校の会長2名・副会長1名から早見氏にクレームが出てしまったので、なんとかして踏みとどまって候補を見つけたい…>


あさ月は(別件もあったので)清水会長にメールを打った。

<大変ですね。やはりクレームが出てますか…。しかし全体に早見さん推しムードになってしまってますよね。なんとかならないものでしょうか>

すぐに返信が来た。

<他校でもまだ会長が決まっていないところはあるから、まだ粘れるとは思うんだけどね。でも選出委員の二人が制限時間超過のプレッシャーに耐えられないかもしれない(- -;)
このままだと時間切れかな。。。>


2日後、早見選出委員長以下委員全員参加で選出委員会が開催された。

「会長については候補者はいませんか」
常任委員と兼任の委員4名が次々に「いません」と申告する。
「では」と早見さんが口を開いたその瞬間

「あっあのっ!清水会長が、候補者に声掛けしています!!」

本部選出委員の安田さんが「ちょっと待ったコール」をかけた!

(つづく)

   
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2015年03月06日 12:00
PTAミッション・インポッシブル〜その5 絶体絶命
 ( あさ月さんのプロフィール)

(※続き物です。未読の方は先にこちらをどうぞ その1→■ その2→■ その3→■ その4→■)

有力候補の小林旦那さんを失い、他の候補者に当たっていくが次第に状況の厳しさが浮かび上がってきた。

まず「あの人は自営業だから時間に融通が利くはず」などの条件面で抽出した候補の場合、人柄が不明である。
とりあえず選出委員がアポイントを取り、PTA会長候補として名前が挙がっていることを伝えお願いできないかと頼むわけだが、ある候補者は「PTA会長」のインパクトに頭が真っ白になってしまったという。
翌日になって我に返り清水会長のもとへ断りにやってきた。
清水会長は彼の「お断り」の理由を一つ一つ「それは~~だから大丈夫」「それはこうカバーできます」とブロックしていったそうだが、全ての理由が尽きたときの言動が「明らかにまずい」(清水会長談)ので彼を候補から外したという。
「会長に限らず本部役員としても不適当と思われた」とは一体どんな言動だったのか個人的には非常に興味があるが、とにかくそんなわけで人柄が分からない人はこのように候補として成り立たない可能性がある。

かといって人柄を知っている人には限りがある。あさ月だって長女のクラスメイトのお母さんはかろうじて知っていても(それでもお互い仕事をしていたりで言葉を交わす機会もなく、人柄までは分からない人が大半)お父さんなど顔も見たことがないレベル。他の選出委員や会長だって似たようなものだ。
唯一の例外が木原さんや早見さんの住む社宅で、会社でのつながりがあるし社宅内での交流もあるから父親であっても誰がどんな感じだと住人同士の間ではよく知られている。

が、社宅は恐ろしい状況に陥りつつあった。
日を追うにつれ社宅内の候補に声をかけると

「会長?だって早見さんがやるんでしょ?」

という返答が返ってくるようになったのだ。
早見さんが「会長が決まらなくてさー、まあ俺がやるよ」と吹聴して回っているからだ。
そうなれば同じ社宅内の人は本当は自分が会長になってもいいかなとちょっと思っていたとしても、角を立てたくないし早見さんがやるんならそれでいいじゃないかと引いてしまう。
そのうち社宅内にとどまらず学校中に「早見会長説」が広まり始め、誰に声をかけても良い返事が期待できない状況になってきた。非常に良くない。


もう2月半ばを過ぎた。タイムリミットが迫っている。3月11日にPTA総会がありそこで次期役員候補者の承認が行われる。候補者の選出は総会10日前までに行う決まりなので、候補者最終確定をするための選出委員会が2月24日に開催される予定になっていた。

選出委員会を2日後に控えた2月22日、近隣他校数校との合同行事があった。本部役員全員スタッフとして参加し、つつがなく過ごしたつもりだったが、その晩に清水会長からメールが飛んだ。

<選出委員の皆さんへ

 明後日の選出委員会の前に、委員で今まで誰にアクセスしてどういう結果だったかを共有し、他に候補者がいないかを確認してください。
 早見氏が会長になることを前提にはしないでもらいたい。

 今日も他校の会長2名・副会長1名から早見氏にクレームが出てしまったので、なんとかして踏みとどまって候補を見つけたい…>


あさ月は(別件もあったので)清水会長にメールを打った。

<大変ですね。やはりクレームが出てますか…。しかし全体に早見さん推しムードになってしまってますよね。なんとかならないものでしょうか>

すぐに返信が来た。

<他校でもまだ会長が決まっていないところはあるから、まだ粘れるとは思うんだけどね。でも選出委員の二人が制限時間超過のプレッシャーに耐えられないかもしれない(- -;)
このままだと時間切れかな。。。>


2日後、早見選出委員長以下委員全員参加で選出委員会が開催された。

「会長については候補者はいませんか」
常任委員と兼任の委員4名が次々に「いません」と申告する。
「では」と早見さんが口を開いたその瞬間

「あっあのっ!清水会長が、候補者に声掛けしています!!」

本部選出委員の安田さんが「ちょっと待ったコール」をかけた!


   

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2015年03月05日 12:00
PTAミッション・インポッシブル〜その4 トラ!トラ!トラ!
 ( あさ月さんのプロフィール)
(※続き物です。未読の方は先にこちらをどうぞ その1→■ その2→■ その3→■)

清水会長からのメールはこうだ。

<自分が考えるベストの体制は、

小林さんの旦那さんを会長に、会計は木原さんが一年だけ引き継ぐ。>

小林さんはあさ月と同じ一年目役員の会計だ。その小林さんを会計から降ろして(夫婦共役員は無理だから)旦那さんを…なかなか斬新なアイディアである。

<理由は、小林さんの旦那さんなら人柄もばっちりだし、本部の概況も分かっているから。木原さんは会長は無理だが別の役職だったらという話で、一年限定なら奥さんの幼稚園役員もまだ三役ではないので両立できる。会長を支えるのにふさわしい。>

小林さんは下のお子さんが小さいこともあり、会計業務以外の行事手伝いなどにはよく旦那さんを代役で出している。旦那さんは人当たりもいいし、働きもいいし、行事終了後の飲み会の付き合いもいい。なるほど適任かもしれない。

<そこで、小林さんの旦那を説得に当たりたいと思います。作戦として

1.まず「相談がある」として本部男連中(怪しまれないように神田さんも)と小林さん夫を呼び出す。
2.そこでこのメールを見ているメンバー全員が加わり説得を開始する >

奇襲作戦じゃねーかw

そして神田さんはやはり一年目の会計監査役だ。一年目役員がまた一人巻き込まれ…ていうか「このメールを見ているメンバー全員」って説得係にもはや当然のごとくあさ月も含まれているし。

その後
<日曜にいつものデニーズで10時に集まる約束を取り付けました。頑張りましょう>
とメールが来、いよいよその日曜日を迎えた。

病み上がりなこともあり少し遅れ気味でデニーズに到着すると、既に皆来ていた。ターゲットの小林さんの旦那さん(以下略して小林旦那さん)も来ている。
男同士の話(?)のはずが、選出委員の女性二人に加えあさ月も来るに至り

「これ、何の集まりなんですか?(汗)」

と小林旦那さんが聞いてくるが、曖昧に笑ってごまかす。そら気になるわな。

各自ドリンクバーの飲み物を取り着席し、おもむろに清水会長が口火を切る。
「実は本部の次期会長を、小林さんにお願いしたいなと」
会長以下6名の視線が一番隅に座った小林旦那さんに集中する。

「え、ちょっ…いや無理、無理無理無理無理」

視線を避けてテーブルに突っ伏す小林旦那さん。

聞けば、奥さんの代役で出ている行事の手伝いは土日でしかも数ヶ月に1回だから可能なのであり(それでもずいぶん前から仕事を調整している)、クライアントがあるタイプの仕事でクライアントから注文が入れば即対応を求められるため平日は全く動けないとのこと。仕事量もまちまちで、多量に仕事を抱えたときは一切何もできないという。
会長の仕事はある程度は代理を立てられるが、やはり平日が全くダメというのはちと厳しいのでそういう事情なら仕方ない…。

「え、でもここで僕が断ったら嫁ピンチ?!今後本部内でいじめられるとか…」

「そう、奥さんをいじめられたくなかったらおとなしくこの話を受け…w」と言いかける清水会長を制し「そんな悪質なことはしません!(^_^;」ときっぱり言い切っておいたが、よく気がつき優しい旦那さんで羨ましい限りである。
うちの夫ハカセにはできない芸当だ。

またしても小林さんと同学年の保護者で自営業だとか会長に適任そうだと思い当たる人を少し挙げてもらって、その人たちも加えた他の候補者に早速今日の午後からアタックしようということを決め、奇襲作戦は幕を閉じた。

(つづく)


   
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2015年03月05日 12:00
PTAミッション・インポッシブル〜その4 トラ!トラ!トラ!
 ( あさ月さんのプロフィール)
(※続き物です。未読の方は先にこちらをどうぞ その1→■ その2→■ その3→■)

清水会長からのメールはこうだ。

<自分が考えるベストの体制は、

小林さんの旦那さんを会長に、会計は木原さんが一年だけ引き継ぐ。>

小林さんはあさ月と同じ一年目役員の会計だ。その小林さんを会計から降ろして(夫婦共役員は無理だから)旦那さんを…なかなか斬新なアイディアである。

<理由は、小林さんの旦那さんなら人柄もばっちりだし、本部の概況も分かっているから。木原さんは会長は無理だが別の役職だったらという話で、一年限定なら奥さんの幼稚園役員もまだ三役ではないので両立できる。会長を支えるのにふさわしい。>

小林さんは下のお子さんが小さいこともあり、会計業務以外の行事手伝いなどにはよく旦那さんを代役で出している。旦那さんは人当たりもいいし、働きもいいし、行事終了後の飲み会の付き合いもいい。なるほど適任かもしれない。

<そこで、小林さんの旦那を説得に当たりたいと思います。作戦として

1.まず「相談がある」として本部男連中(怪しまれないように神田さんも)と小林さん夫を呼び出す。
2.そこでこのメールを見ているメンバー全員が加わり説得を開始する >

奇襲作戦じゃねーかw

そして神田さんはやはり一年目の会計監査役だ。一年目役員がまた一人巻き込まれ…ていうか「このメールを見ているメンバー全員」って説得係にもはや当然のごとくあさ月も含まれているし。

その後
<日曜にいつものデニーズで10時に集まる約束を取り付けました。頑張りましょう>
とメールが来、いよいよその日曜日を迎えた。

病み上がりなこともあり少し遅れ気味でデニーズに到着すると、既に皆来ていた。ターゲットの小林さんの旦那さん(以下略して小林旦那さん)も来ている。
男同士の話(?)のはずが、選出委員の女性二人に加えあさ月も来るに至り

「これ、何の集まりなんですか?(汗)」

と小林旦那さんが聞いてくるが、曖昧に笑ってごまかす。そら気になるわな。

各自ドリンクバーの飲み物を取り着席し、おもむろに清水会長が口火を切る。
「実は本部の次期会長を、小林さんにお願いしたいなと」
会長以下6名の視線が一番隅に座った小林さんに集中する。

「え、ちょっ…いや無理、無理無理無理無理」

視線を避けてテーブルに突っ伏す小林さん。

聞けば、奥さんの代役で出ている行事の手伝いは土日でしかも数ヶ月に1回だから可能なのであり(それでもずいぶん前から仕事を調整している)、クライアントがあるタイプの仕事でクライアントから注文が入れば即対応を求められるため平日は全く動けないとのこと。仕事量もまちまちで、多量に仕事を抱えたときは一切何もできないという。
会長の仕事はある程度は代理を立てられるが、やはり平日が全くダメというのはちと厳しいのでそういう事情なら仕方ない…。

「え、でもここで僕が断ったら嫁ピンチ?!今後本部内でいじめられるとか…」

「そう、奥さんをいじめられたくなかったらおとなしくこの話を受け…w」と言いかける清水会長を制し「そんな悪質なことはしません!(^_^;」ときっぱり言い切っておいたが、よく気がつき優しい旦那さんで羨ましい限りである。
うちの夫ハカセにはできない芸当だ。

またしても小林さんと同学年の保護者で自営業だとか会長に適任そうだと思い当たる人を少し挙げてもらって、その人たちも加えた他の候補者に早速今日の午後からアタックしようということを決め、奇襲作戦は幕を閉じた。

(つづく)


   
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2015年03月04日 12:00
PTAミッション・インポッシブル〜その3 誤算
 ( あさ月さんのプロフィール)
(※続き物です。未読の方は先にこちらをどうぞ その1→■ その2→■)

「302…」
電話で聞いた部屋番号を確認し、ドアチャイムを鳴らす。迎え入れてくれたわこちゃんのお母さんにお土産を手渡し、急に訪問したことのお詫びなどを一通り終えたところで「実はPTA次期会長の件で…」と切り出した。

「やっぱりそのことかなーと思ってた(笑)」
「よねー(笑)」

話し合いは2時間にも及んだ。
大きな誤算は、わこちゃんのお母さんが幼稚園の役員をやりたがっていたことだった。
あさ月も清水会長もてっきり幼稚園の役員は仕方なく引き受けるものだと思い、だから「夫が小学校のPTA会長になるから」を免罪符に幼稚園の役員から逃れられるよ☆というのをセールスポイントだと考えていたがそれはおよそ見当違いだったということだ。
言われてみればわこちゃんのお母さんは子ども達がまだ2歳くらいの頃からボランティアのような活動に携わっていたなあ…と今更のように思い出す。
幼稚園の役員もやりたくて仕方なかったが、わこちゃんの時は下の子がまだ小さく、その下の子が入園した今年度は旦那さんが小学校の役員なので我慢して、来年度からやっと…!というところだったのだそうで、もう下に子どももいずラストチャンスなのでこれは譲れない、という主張には筋が通っていた。突き崩すのは無理だと悟り、途中からは他の候補者を挙げてもらう方向にシフトした。

わこちゃんちのあるこのマンションはとある大手企業の借り上げ社宅で、会社関係の知り合いが多いのだ。
「○○さんはバレーボールクラブの監督をされてて、リーダーシップがありそう」
「△△さんは子ども好きで面倒見の良いお父さんだし、向いてるかも」
等々。
なお件の「会長になってはいけない副会長No.1」早見さんも実はこの社宅の住人で、木原さんが会長になるのを渋るのはそのせいもあった。同じ会社だし家も同じマンション(ついでに子どもも同級生)。早見さんが「誰もいなかったらしょうがないから俺がやるしかないよねー」などと言いながら内心では会長になりたがっているのを知っているから、それを差し置いて会長になったりしたらどれほど気まずいか…ということを心配しているのだった。それも理解できる。

あさ月は帰宅後、清水会長に電話し「木原さんの奥さんに幼稚園役員を諦めさせるのは無理。イコール、木原さんを会長にはできない。社宅内の他の候補者を何人か聞いてきたから当たりましょう」と進言した。
これを受けて木原さんに正式に辞退を受理する旨連絡した、と清水会長からメールが入った。

おまけとしてわこちゃんのお母さんは
「もし下の子が入学したら、その時は本部役員をやるから!会長は無理だけど、書記とか会計とか…」
と言った。
いやいや旦那さんが今既に本部役員だから、もう本部はやらなくて大丈夫だよ!?と言っておいたが「ううん、いいの、下の子とは学年が5年も空いてるし、また回ってくるのも覚悟してるから」と言っていた…
と清水会長に言うと

「いや、本部役員に関しては『やりたい人よりやってほしい人』という格言があってだね、やりたい人は往々にして危険なんだよ(苦笑)」

とのこと。
この格言を作った(?)のは他校の会長さんだそうだが、PTA役員経験者の中には頷いている人もいるかもしれない。

さらにおまけの2として、この翌日からわこちゃんの妹がインフルエンザを発症した。2日後あさ月が高熱で倒れた。翌日には次女が、その半日後に長女も高熱を出し、子ども二人ともインフルエンザの診断。
あさ月だけは検査の結果陰性だったのだが、でもどうもあの2時間でわこちゃんちからインフルをもらってきてしまった気がしてならない…。(参考記事→■)

さて、木原さんをすっぱり諦めその日から他の候補者に次々アタックを開始した…と聞いている。アタックするのは今回任期切れになる本部役員と常任委員の一部(兼任)で構成される選出委員会の役割で、あさ月は委員ではないのでメール等のやりとりで経過を断片的に知るのみだが。

なお現会長と会計監査役は任期切れでも例外で選出委員ではなく、選出委員長は任期切れになる方の副会長と決まっている。すなわち早見さんである。
本来選出委員は自分自身を選出することができない。そのため常任委員から選出委員となり本部役員に選ばれることを回避する人もいるくらいだ。早見さんが大っぴらに「会長になる」と言えない理由もここにある。だが大っぴらには言わないが「誰もいなかったら俺が会長になる」と度々発言しているので、清水会長はこのルール無視の所行も苦々しく思っているようである。

アタックの結果は相変わらずNG(お断り)の報告が並ぶ。
そんな中、清水会長は新機軸を打ち出してきた。

(つづく)

   
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2015年03月04日 12:00
PTAミッション・インポッシブル〜その3 誤算
 ( あさ月さんのプロフィール)

「302…」
電話で聞いた部屋番号を確認し、ドアチャイムを鳴らす。迎え入れてくれたわこちゃんのお母さんにお土産を手渡し、急に訪問したことのお詫びなどを一通り終えたところで「実はPTA次期会長の件で…」と切り出した。

「やっぱりそのことかなーと思ってた(笑)」
「よねー(笑)」

話し合いは2時間にも及んだ。
大きな誤算は、わこちゃんのお母さんが幼稚園の役員をやりたがっていたことだった。
あさ月も清水会長もてっきり幼稚園の役員は仕方なく引き受けるものだと思い、だから「夫が小学校のPTA会長になるから」を免罪符に幼稚園の役員から逃れられるよ☆というのをセールスポイントだと考えていたがそれはおよそ見当違いだったということだ。
言われてみればわこちゃんのお母さんは子ども達がまだ2歳くらいの頃からボランティアのような活動に携わっていたなあ…と今更のように思い出す。
幼稚園の役員もやりたくて仕方なかったが、わこちゃんの時は下の子がまだ小さく、その下の子が入園した今年度は旦那さんが小学校の役員なので我慢して、来年度からやっと…!というところだったのだそうで、もう下に子どももいずラストチャンスなのでこれは譲れない、という主張には筋が通っていた。突き崩すのは無理だと悟り、途中からは他の候補者を挙げてもらう方向にシフトした。

わこちゃんちのあるこのマンションはとある大手企業の借り上げ社宅で、会社関係の知り合いが多いのだ。
「○○さんはバレーボールクラブの監督をされてて、リーダーシップがありそう」
「△△さんは子ども好きで面倒見の良いお父さんだし、向いてるかも」
等々。
なお件の「会長になってはいけない副会長No.1」早見さんも実はこの社宅の住人で、木原さんが会長になるのを渋るのはそのせいもあった。同じ会社だし家も同じマンション(ついでに子どもも同級生)。早見さんが「誰もいなかったらしょうがないから俺がやるしかないよねー」などと言いながら内心では会長になりたがっているのを知っているから、それを差し置いて会長になったりしたらどれほど気まずいか…ということを心配しているのだった。それも理解できる。

あさ月は帰宅後、清水会長に電話し「木原さんの奥さんに幼稚園役員を諦めさせるのは無理。イコール、木原さんを会長にはできない。社宅内の他の候補者を何人か聞いてきたから当たりましょう」と進言した。
これを受けて木原さんに正式に辞退を受理する旨連絡した、と清水会長からメールが入った。

おまけとしてわこちゃんのお母さんは
「もし下の子が入学したら、その時は本部役員をやるから!会長は無理だけど、書記とか会計とか…」
と言った。
いやいや旦那さんが今既に本部役員だから、もう本部はやらなくて大丈夫だよ!?と言っておいたが「ううん、いいの、下の子とは学年が5年も空いてるし、また回ってくるのも覚悟してるから」と言っていた…
と清水会長に言うと

「いや、本部役員に関しては『やりたい人よりやってほしい人』という格言があってだね、やりたい人は往々にして危険なんだよ(苦笑)」

とのこと。
この格言を作った(?)のは他校の会長さんだそうだが、PTA役員経験者の中には頷いている人もいるかもしれない。

さらにおまけの2として、この翌日からわこちゃんの妹がインフルエンザを発症した。2日後あさ月が高熱で倒れた。翌日には次女が、その半日後に長女も高熱を出し、子ども二人ともインフルエンザの診断。
あさ月だけは検査の結果陰性だったのだが、でもどうもあの2時間でわこちゃんちからインフルをもらってきてしまった気がしてならない…。(参考記事→■)

さて、木原さんをすっぱり諦めその日から他の候補者に次々アタックを開始した…と聞いている。アタックするのは今回任期切れになる本部役員と常任委員の一部(兼任)で構成される選出委員会の役割で、あさ月は委員ではないのでメール等のやりとりで経過を断片的に知るのみだが。

なお現会長と会計監査役は任期切れでも例外で選出委員ではなく、選出委員長は任期切れになる方の副会長と決まっている。すなわち早見さんである。
本来選出委員は自分自身を選出することができない。そのため常任委員から選出委員となり本部役員に選ばれることを回避する人もいるくらいだ。早見さんが大っぴらに「会長になる」と言えない理由もここにある。だが大っぴらには言わないが「誰もいなかったら俺が会長になる」と度々発言しているので、清水会長はこのルール無視の所行も苦々しく思っているようである。

アタックの結果は相変わらずNG(お断り)の報告が並ぶ。
そんな中、清水会長は新機軸を打ち出してきた。

(つづく)

   
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2015年03月03日 12:00
PTAミッション・インポッシブル〜その2 不穏な存在
 ( あさ月さんのプロフィール)
(※続き物です。未読の方は先にこちらをどうぞ その1→■)

「木原さんに引き受けてもらえないとちょっとね、ほんとにまずいことになるんだよ」
と電話の向こうの清水会長は言う。

「まずいこと?」
「そう、Y小崩壊の危機かもしんない」
「ええっ!?」

というのも副会長は二人で、あさ月の他にもう一人、早見さんという男性がいる。この早見さんは今回任期切れになり、「誰もやる人がいなかったら俺が会長やってもいいよ」と言っているらしい。
「でもそれが良くないんだよ」と会長。
なんでも早見さんは、学校(校長・副校長)、地域の偉いさん、他校のPTA会長連から陰でことごとく
「あの人はちょっと」
「あの人はなし」
「あの人を会長に?悪い冗談はやめてくれよHAHAHA」
などと言われており「会長になっちゃいけない副会長No.1」の座をほしいままにしているのだそうだ。
(通常副会長が次期会長になるのは王道なのだが)
人柄や態度のでかさ(!)に問題があるらしい。副会長としては(多少協調性を欠くところがあっても)それほど問題ないし面倒見がいいなど長所もあるので対外的にそれほど評判が悪いとは気づかなかった。

会長の仕事の一つは対外関係を良好に維持することだ。
今の清水会長になる前は地域や他校との関係が悪く、そのために地域連携の行事で地域とPTAの小競り合いが起きたり他校からのクレームが後を絶たなかったりしたのを清水会長がやっと正常に立て直したところだった。
だけど早見さんが会長になればまた前に逆戻りする(他校との関係などはもっと悪くなる)可能性が高い。
清水会長になる前の年に一日役員で祭りの手伝いをして、地域ともめている姿を目の当たりにしたことがあるあさ月にはその「まずさ」がよく理解できた。

「だから早見さん以外の誰かに会長をやってもらわないといけない。それも、他校や地域と上手くやっていける人に。その点木原さんなら大丈夫だし、絶対に引き受けてもらいたいんだよ。その辺の切羽詰まり度合いを奥さんにも理解してもらってほしい」
「わかりました」

わこちゃんの家に電話をし、訪問していいかどうか問い合わせる。いずれこの件で来るだろうと思われていたのか、即了解がもらえた。
近所のスーパーで焼き菓子のプチギフトを買って、とあるマンションの一室に向かった。

(つづく)


   
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2015年03月03日 12:00
PTAミッション・インポッシブル〜その2 不穏な存在
 ( あさ月さんのプロフィール)

「木原さんに引き受けてもらえないとちょっとね、ほんとにまずいことになるんだよ」
と電話の向こうの清水会長は言う。

「まずいこと?」
「そう、Y小崩壊の危機かもしんない」
「ええっ!?」

というのも副会長は二人で、あさ月の他にもう一人、早見さんという男性がいる。この早見さんは今回任期切れになり、「誰もやる人がいなかったら俺が会長やってもいいよ」と言っているらしい。
「でもそれが良くないんだよ」と会長。
なんでも早見さんは、学校(校長・副校長)、地域の偉いさん、他校のPTA会長連から陰でことごとく
「あの人はちょっと」
「あの人はなし」
「あの人を会長に?悪い冗談はやめてくれよHAHAHA」
などと言われており「会長になっちゃいけない副会長No.1」の座をほしいままにしているのだそうだ。
(通常副会長が次期会長になるのは王道なのだが)
人柄や態度のでかさ(!)に問題があるらしい。副会長としては(多少協調性を欠くところがあっても)それほど問題ないし面倒見がいいなど長所もあるので対外的にそれほど評判が悪いとは気づかなかった。

会長の仕事の一つは対外関係を良好に維持することだ。
今の清水会長になる前は地域や他校との関係が悪く、そのために地域連携の行事で地域とPTAの小競り合いが起きたり他校からのクレームが後を絶たなかったりしたのを清水会長がやっと正常に立て直したところだった。
だけど早見さんが会長になればまた前に逆戻りする(他校との関係などはもっと悪くなる)可能性が高い。
清水会長になる前の年に一日役員で祭りの手伝いをして、地域ともめている姿を目の当たりにしたことがあるあさ月にはその「まずさ」がよく理解できた。

「だから早見さん以外の誰かに会長をやってもらわないといけない。それも、他校や地域と上手くやっていける人に。その点木原さんなら大丈夫だし、絶対に引き受けてもらいたいんだよ。その辺の切羽詰まり度合いを奥さんにも理解してもらってほしい」
「わかりました」

わこちゃんの家に電話をし、訪問していいかどうか問い合わせる。いずれこの件で来るだろうと思われていたのか、即了解がもらえた。
近所のスーパーで焼き菓子のプチギフトを買って、とあるマンションの一室に向かった。

(つづく)


   
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2015年03月02日 12:00
PTAミッション・インポッシブル〜その1 会長候補を説得せよ
 ( あさ月さんのプロフィール)
ちょっと相談があるので夜に電話してもいいかと、小学校のPTA会長からメールが来た。
あさ月は今年度(昨年4月)からPTA副会長をしている。一日役員の係で張り切って働いていたため(参考記事→■)役員さんたちの目にとまってしまったようだ。一昨年の秋に勧誘を受け、高学年になって卒対委員なんかになるよりは本部の方が楽よというセールストークに乗せられ引き受けてしまったものである。しかしすべての行事に朝早くからかり出されるし、役員研修会やら何やらあるし、本当に「本部の方が楽」なのかどうかはさっぱり定かではない。

さて都合の良い時間を返信しておくと、その時間になり携帯に着信が来た。「PTA清水さん」と表示されている。会長である。ちなみにあさ月と同い年の男性だ(会長は早生まれなので学年は一つ上だが、あさ月が5月生まれのため誕生日はかなり近い)。

「どうもお疲れさまです~」
「どうもです。ねえねえ、緑川さんて、木原さんの奥さんと仲良いんだって?」
「え?ええ、子ども同士が同い年で、児童館で子どもがまだ1歳なるかならないかの頃に知り合ってもう9年近い付き合いになりますけど」

木原さんはPTA会計監査役をしている。長女の同級生、わこちゃんのお父さんである。
(わこちゃんとの9年来の付き合いの証拠があった→■)

「実はさあ、次の会長に木原さんを考えてるんだよね」

「ほほう」

この小学校のPTA本部役員の任期は2年である。毎年約半数ずつ入れ替わるようになっていて、次年度は会長も代わる。基本的には新しい人を入れようとしたが、狙い定めた何人かの候補者にアタックするもことごとく振られている状態らしい。
そこで同じく任期が切れる木原さんに白羽の矢が立ったということだ。なんでも、地域の偉いさんからは「木原さん以外の会長は認めない」とまで言われているという。酒好きで付き合いが良いからであろう。休日ともなれば常に酒臭いレベルなのでちょっと付き合いが良すぎる気もするが。

「それで説得を試みてるんだけど、奥さんが下の子の幼稚園の役員をやるとかで二人とも役員は無理だからと首を縦にふってくれないんだわ。で、前に木原さんが『うちのかみさんと緑川さん、仲良いんだよな』って言ってたのを思い出して、おっこりゃいい伝手があった!と思って」

「なるほど、じゃあちょっと奥さんの方にメール打っときますよ」

ということで
<木原さんなら人柄も申し分ないし、地域の人からもぜひにと望まれています。幼稚園の方にはうちの学校の名前を出してもらって構わないので、旦那さんがPTA会長をすることになったからと言ってもらえれば…何卒よろしくお願いします>

ってな文面で送信ポチッとな!し、しばらくして

<旦那と話し合います>

という返信が来たので、まあまあ良いのでは?!と会長に首尾を報告しておいた。

が、その週の日曜に携帯が鳴った。清水会長からの着信。

「スクランブルです」

木原さんに断られた、という…。やはり奥さんが幼稚園の役員をするため、無理だと。
かくなる上は直接奥さんと話をするしかない。あさ月に与えられた使命はただ一つ。奥さんを説得し幼稚園より小学校の方を優先してもらうのだ。

…あれ?私まだ一年目役員で次期役員選出には携わらないはずなのに?
なんて考える暇もなくこのミッションに巻き込まれていくのであった。

(つづく)


   
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2015年03月02日 12:00
PTAミッション・インポッシブル〜その1 会長候補を説得せよ
 ( あさ月さんのプロフィール)

ちょっと相談があるので夜に電話してもいいかと、小学校のPTA会長からメールが来た。
あさ月は今年度(昨年4月)からPTA副会長をしている。一日役員の係で張り切って働いていたため(参考記事→■)役員さんたちの目にとまってしまったようだ。一昨年の秋に勧誘を受け、高学年になって卒対委員なんかになるよりは本部の方が楽よというセールストークに乗せられ引き受けてしまったものである。しかしすべての行事に朝早くからかり出されるし、役員研修会やら何やらあるし、本当に「本部の方が楽」なのかどうかはさっぱり定かではない。

さて都合の良い時間を返信しておくと、その時間になり携帯に着信が来た。「PTA清水さん」と表示されている。会長である。ちなみにあさ月と同い年の男性だ(会長は早生まれなので学年は一つ上だが、あさ月が5月生まれのため誕生日はかなり近い)。

「どうもお疲れさまです~」
「どうもです。ねえねえ、緑川さんて、木原さんの奥さんと仲良いんだって?」
「え?ええ、子ども同士が同い年で、児童館で子どもがまだ1歳なるかならないかの頃に知り合ってもう9年近い付き合いになりますけど」

木原さんはPTA会計監査役をしている。長女の同級生、わこちゃんのお父さんである。
(わこちゃんとの9年来の付き合いの証拠があった→■)

「実はさあ、次の会長に木原さんを考えてるんだよね」

「ほほう」

この小学校のPTA本部役員の任期は2年である。毎年約半数ずつ入れ替わるようになっていて、次年度は会長も代わる。基本的には新しい人を入れようとしたが、狙い定めた何人かの候補者にアタックするもことごとく振られている状態らしい。
そこで同じく任期が切れる木原さんに白羽の矢が立ったということだ。なんでも、地域の偉いさんからは「木原さん以外の会長は認めない」とまで言われているという。酒好きで付き合いが良いからであろう。休日ともなれば常に酒臭いレベルなのでちょっと付き合いが良すぎる気もするが。

「それで説得を試みてるんだけど、奥さんが下の子の幼稚園の役員をやるとかで二人とも役員は無理だからと首を縦にふってくれないんだわ。で、前に木原さんが『うちのかみさんと緑川さん、仲良いんだよな』って言ってたのを思い出して、おっこりゃいい伝手があった!と思って」

「なるほど、じゃあちょっと奥さんの方にメール打っときますよ」

ということで
<木原さんなら人柄も申し分ないし、地域の人からもぜひにと望まれています。幼稚園の方にはうちの学校の名前を出してもらって構わないので、旦那さんがPTA会長をすることになったからと言ってもらえれば…何卒よろしくお願いします>

ってな文面で送信ポチッとな!し、しばらくして

<旦那と話し合います>

という返信が来たので、まあまあ良いのでは?!と会長に首尾を報告しておいた。

が、その週の日曜に携帯が鳴った。清水会長からの着信。

「スクランブルです」

木原さんに断られた、という…。やはり奥さんが幼稚園の役員をするため、無理だと。
かくなる上は直接奥さんと話をするしかない。あさ月に与えられた使命はただ一つ。奥さんを説得し幼稚園より小学校の方を優先してもらうのだ。

…あれ?私まだ一年目役員で次期役員選出には携わらないはずなのに?
なんて考える暇もなくこのミッションに巻き込まれていくのであった。

(つづく)


   
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2015年01月30日 12:00
発想力
 ( あさ月さんのプロフィール)
元気になってもインフルエンザの出席停止期間とあってはどこにも行けない子どもたちのために、本を買ってきた。 長女には「新訳 ふしぎの国のアリス」。挿絵が萌え系で可愛く、訳も若干くだけている。※昔「春ってあけぼのよ!」で始まる「桃尻語訳枕草子」が少し流行ったことがあったが、あれほどではない。 今時は何でも可愛くていいなあ。(絵の好みに偏りを生じそうな気もするが)
次女には「発想力のワーク5~6歳」とかいうのを買った。次女は最近字を書くのが好きなので、与えるとすごい勢いでバリバリと十数枚一気にこなしてしまった。 どれどれちゃんとできているのだろうかと見てみると
「あなたは おかあさんによばれました」 お母さんは料理中と思われる挿絵がついている。
「テレビは いま いちばんおもしろいばめんです」 子どもがテレビを見ながら振り返っている。
「あなたはなんといいますか」
大きな吹き出しの中に次女の書いた答えが
「なに」

いやそういう答えじゃないだろ

と長女と笑っていて、じゃあ小学3年生は何と答えるのか?と聞くと
「『はい』?」
幼稚園児と変わらんじゃないかよ。
「えっ…じゃあ『おてつだいするよ』?」
「テレビ『いちばんおもしろいところ』らしいのに?」
「うん、いいよ。お手伝いしたいから」
おまえ…いいやつだな…。


これ多分標準解答としては(発想力をのばすワークなので正解があるわけではない)「今テレビ見てるからちょっと待って」とか「今一番いいとこだから、これが終わってから話聞く」とかが想定されていると思うのだが、考えてみたら声をかけられたのにテレビを優先させるのもどうかと思う。「何?」や「はい」と応対する方が人間として正しそうだ。実際に「ちょっと待って」と言ってしまいそうな自分を反省。

ふしぎの国のアリス
著者:ルーイス・カロル
価格:604円(税込、送料込)
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2015年01月30日 12:00
発想力
 ( あさ月さんのプロフィール)
元気になってもインフルエンザの出席停止期間とあってはどこにも行けない子どもたちのために、本を買ってきた。長女には「新訳 ふしぎの国のアリス」。挿絵が萌え系で可愛く、訳も若干くだけている。※昔「春ってあけぼのよ!」で始まる「桃尻語訳枕草子」が少し流行ったことがあったが、あれほどではない。今時は何でも可愛くていいなあ。(絵の好みに偏りを生じそうな気もするが)
次女には「発想力のワーク5~6歳」とかいうのを買った。次女は最近字を書くのが好きなので、与えるとすごい勢いでバリバリと十数枚一気にこなしてしまった。どれどれちゃんとできているのだろうかと見てみると
「あなたは おかあさんによばれました」お母さんは料理中と思われる挿絵がついている。
「テレビは いま いちばんおもしろいばめんです」子どもがテレビを見ながら振り返っている。
「あなたはなんといいますか」
大きな吹き出しの中に次女の書いた答えが
「なに」

いやそういう答えじゃないだろ

と長女と笑っていて、じゃあ小学3年生は何と答えるのか?と聞くと
「『はい』?」
幼稚園児と変わらんじゃないかよ。
「えっ…じゃあ『おてつだいするよ』?」
「テレビ『いちばんおもしろいところ』らしいのに?」
「うん、いいよ。お手伝いしたいから」
おまえ…いいやつだな…。


これ多分標準解答としては(発想力をのばすワークなので正解があるわけではない)「今テレビ見てるからちょっと待って」とか「今一番いいとこだから、これが終わってから話聞く」とかが想定されていると思うのだが、考えてみたら声をかけられたのにテレビを優先させるのもどうかと思う。「何?」や「はい」と応対する方が人間として正しそうだ。実際に「ちょっと待って」と言ってしまいそうな自分を反省。

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2015年01月26日 12:00
アイツと相性の悪い姉妹
 ( あさ月さんのプロフィール)
(はじめに:嘔○の表現が複数回あります。恐怖症の方、お食事中の方はご注意ください)

恐れていたものが緑川家にやってきた。
インフルエンザである。

これがよく分からないのだが、最初に体調を崩したのはあさ月であった。
元々咳が出ていたが、水曜の午後から仕事中にあり得ないレベルでの居眠り(「寝息が聞こえた」と先輩に指摘されたのだった…)、帰りにふらついて駅の階段を踏み外しそうになる、悪寒・夜間の発熱など、重度の風邪かと思っていた翌日の午後に幼稚園から電話がかかってきた。

「ライムちゃん、顔色が悪くて『寒い』とずっと言っていて、熱を測ると37.3℃あって…」

あさ月の風邪という心当たりがありすぎるので仕事は即早退させてもらい、幼稚園に向かった。
幼稚園到着時には熱が上がっていて38.6℃にもなっていた。保健室に寝かしてもらっていたが顔色が土気色である。
出迎えてくれた主任の先生は
「でも咳も鼻水も出ていたから、インフルエンザとは違いそうな気がする。つばき組ではインフルエンザの子は一人もいないし」
と言い、あさ月も同意した。しかし隣のあやめ組では9人ものインフルエンザ患児が発生している。ただそのため前日から学級閉鎖となっていて、他のクラスに拡散する前の封じ込めには成功していると思われた。

一旦家に帰ると、学校から帰宅していた長女が気になる情報を持っていた。
「(クラスメイトの)わこちゃんがインフルエンザなんだって。妹のせいかちゃんがインフルエンザだったから」
何っ!?
日曜の夕方にあさ月はPTAでのっぴきならない用があり、わこちゃんのお宅を訪問している。2時間余りにわたって滞在し、そのうち30分くらいはそのせいかちゃんも同じテーブルにいた。
まさかあさ月の体調不良はそこで感染したインフルエンザ?!
そしてそれが次女にも感染?
とにかく季節柄高熱=インフルエンザの可能性は否定できない。あさ月は次女を連れかかりつけの小児科に向かった。

インフルエンザの可能性があるからと隔離室に通してもらい、かかりつけ医の診察を受ける。
「うーん、インフルエンザの可能性もありますけど、クラスにはいないんですよね?熱が出てから3時間程度…反応が出るかどうか…」
と言われつつ検査をしてもらい10分後

ガラッ(隔離室の戸が開く音)

「ライムちゃん、インフルエンザでした。A型です。クラス第一号ですね」

<そんな第一号いらない…

土曜までに熱が下がっても火曜までは出席停止であること、タミフルが処方されることなどの説明を受け帰宅。
タミフルを調剤してもらった薬局では「できるだけ早く飲ませる方がいいので、帰ったらすぐ今日の夜の分は飲んでください」と指示される。
そこで帰ってすぐ、タミフルをヨーグルトに載せて(混ぜるとコーティングが剥がれて苦くなるよ☆)食べさせた。
すると40分ほど経った頃だろうか。
「ゲボがでた…」
というか細い声が。

ノオオオオオオオ!!!

嘔吐してるぅううう!!

カーペットに…ううううう…
何で嘔吐??

その後は何ともなかったが、翌朝朝食を軽く食べさせ、薬を飲ませて大丈夫そうかと思っていたら服用から1時間後また嘔吐orz(ただし次女はなかなか賢いので、用意しておいた洗面器に吐いていた)

これはなんだ?
タイミング良く(?)長女も前日夜から発熱が始まり、うつっている疑いが濃厚だったので二人を引き連れついでに自分の診察券も持って再び小児科を訪れた。
自分もインフルエンザの可能性が高いということで長女とあさ月は検査、次女は嘔吐の件を相談。

長女の検査は1分ほどで「やっぱりインフルエンザA型です」と結果が返ってきた。早っ。
次女の嘔吐は
「2回とも薬を飲んで40分とか1時間なので、薬との相性が悪いのかもしれないですね…。吐き気止めを出しますから、飲んでから食事やタミフルを飲んで様子を見るか、まあ無理して飲まなくてもいいのかも…」
とのこと。
そして

「お母さんは陰性ですね」

え???

時間が経ちすぎているからでしょうか?と聞いても、水曜の昼からならまだ2日、抗ウイルス薬でウイルスの増殖を抑えたわけでもない。もしインフルエンザなら確実に陽性と出るはずだという。子どもたちはリンパ腺が腫れていたが、あさ月はそうでもないなど症状にも少し違いがあるとも。

自分はインフルではない…?

「わこちゃんちであさ月が感染して緑川家に拡散した」説がガラガラと崩れていく。
じゃあ次女、あなたのインフルはどこから?(ベンザブロックの宣伝風に)
あやめ組が学級閉鎖になる直前にもらった?
謎である。

次女には吐き気止め、長女にはタミフルをもらって帰宅。
長女はやはり一刻も早く服用を開始した方が良いということで、帰ってすぐに飲ませる。
~1時間後~
「…洗面器…」by長女 以下略

電話で小児科に相談。
「それはやっぱり薬との相性が悪いんでしょうね。二人とも無理に飲ませなくてもいいと思いますよ」。

調べるとタミフルの副作用として、小児では最も多いのが嘔吐だったりする。その頻度実に24.3%。それでも我が家の小児での発現率100%って何なんだ…。タミフルと相性の悪い姉妹。
(薬を飲ませるのをやめたら嘔吐はすっぱりなくなり、ご飯ももりもり食べられるのだからやはり副作用だったと考えられる)

さて、今まで話に出てこず一人健康体で頑張っていた夫ハカセ。インフルエンザではなかったにせよ体調の悪いあさ月に代わり家事をしたり子どもたちの面倒を見たり大活躍してくれていた。
しかし日曜になって何やら喉に違和感を覚え始めたという。
火曜には絶対に外せない仕事が入っているらしい。

「そうだ、タミフルの予防投与ができるかもしれない」
あさ月はひらめいた。

タミフルはウイルスの増殖を抑える薬である。患者と接触した人が発症前に飲めば、ウイルスの増殖を抑制し発症を防ぐことができる。これを予防投与という。
一応予防投与の対象は、患者と同居している高齢者だとか呼吸器系の基礎疾患がある者だとかガイドラインみたいなのがあるが、病気に対する治療ではないため自費診療だからぶっちゃけ金さえ払えば何でもありだ。
まして我が家には今タミフルが既にある。姉妹が飲めなかったタミフルドライシロップが。
処方された薬の量から成分量を逆算する。次女の分がオセルタミビルリン酸塩にして30mg、長女の分が40mg。合わせれば70mg。大人用のタミフルカプセルだと75mgだから、5mg足りないがまあ許容範囲だろう。

長女のタミフルを1包、次女のタミフルを1包。
「さあこれを今すぐ」
ウイルスが増殖する前にそれを抑え込めるかが鍵だ。思い立ったが吉日、初回投与は早ければ早いほどいい。(本当は患者と接触して48時間以内が望ましい)
少なくとも熱が出てから飲むよりはるかに効きが良いはずだ。
子どもたちは副作用で飲めなかったし、飲まなくても予防接種の効果か2人とも2日でさくっと熱は下がってタミフルは不要だった。実はこれが一番有意義な使い方だろう。

サラサラとタミフルを口に入れる夫ハカセを見ながら長女が
「パパ吐かない…?」
と心配そうに言った。
すっかりタミフル=嘔吐という図式ができあがってしまったようだ。
大人の場合も嘔吐の副作用は報告されているが、頻度が小児とは全然違い1%とかなのでまず心配ないのであるが。
実際問題なく経過している。後は発症を抑えられるかだ…。
タミフルの力、見せてもらおう。

そしてタミフルなしでも2日で熱が下がった姉妹はとても元気だが、まだ出席停止で自宅から出られない。姉妹同時だったのは幸いであるが、特に次女の方が退屈を持て余している。 でもって夫ハカセも1日休んでくれたが、あさ月は2日有給を減らすことになった。半日休暇にすれば4回分。PTAなどの行事4回こなせたのに…もったいなさすぎて、涙。


     
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2015年01月26日 12:00
アイツと相性の悪い姉妹
 ( あさ月さんのプロフィール)
(はじめに:嘔○の表現が複数回あります。恐怖症の方、お食事中の方はご注意ください)

恐れていたものが緑川家にやってきた。
インフルエンザである。

これがよく分からないのだが、最初に体調を崩したのはあさ月であった。
元々咳が出ていたが、水曜の午後から仕事中にあり得ないレベルでの居眠り(「寝息が聞こえた」と先輩に指摘されたのだった…)、帰りにふらついて駅の階段を踏み外しそうになる、悪寒・夜間の発熱など、重度の風邪かと思っていた翌日の午後に幼稚園から電話がかかってきた。

「ライムちゃん、顔色が悪くて『寒い』とずっと言っていて、熱を測ると37.3℃あって…」

あさ月の風邪という心当たりがありすぎるので仕事は即早退させてもらい、幼稚園に向かった。
幼稚園到着時には熱が上がっていて38.6℃にもなっていた。保健室に寝かしてもらっていたが顔色が土気色である。
出迎えてくれた主任の先生は
「でも咳も鼻水も出ていたから、インフルエンザとは違いそうな気がする。つばき組ではインフルエンザの子は一人もいないし」
と言い、あさ月も同意した。しかし隣のあやめ組では9人ものインフルエンザ患児が発生している。ただそのため前日から学級閉鎖となっていて、他のクラスに拡散する前の封じ込めには成功していると思われた。

一旦家に帰ると、学校から帰宅していた長女が気になる情報を持っていた。
「(クラスメイトの)わこちゃんがインフルエンザなんだって。妹のせいかちゃんがインフルエンザだったから」
何っ!?
日曜の夕方にあさ月はPTAでのっぴきならない用があり、わこちゃんのお宅を訪問している。2時間余りにわたって滞在し、そのうち30分くらいはそのせいかちゃんも同じテーブルにいた。
まさかあさ月の体調不良はそこで感染したインフルエンザ?!
そしてそれが次女にも感染?
とにかく季節柄高熱=インフルエンザの可能性は否定できない。あさ月は次女を連れかかりつけの小児科に向かった。

インフルエンザの可能性があるからと隔離室に通してもらい、かかりつけ医の診察を受ける。
「うーん、インフルエンザの可能性もありますけど、クラスにはいないんですよね?熱が出てから3時間程度…反応が出るかどうか…」
と言われつつ検査をしてもらい10分後

ガラッ(隔離室の戸が開く音)

「ライムちゃん、インフルエンザでした。A型です。クラス第一号ですね」

<そんな第一号いらない…

土曜までに熱が下がっても火曜までは出席停止であること、タミフルが処方されることなどの説明を受け帰宅。
タミフルを調剤してもらった薬局では「できるだけ早く飲ませる方がいいので、帰ったらすぐ今日の夜の分は飲んでください」と指示される。
そこで帰ってすぐ、タミフルをヨーグルトに載せて(混ぜるとコーティングが剥がれて苦くなるよ☆)食べさせた。
すると40分ほど経った頃だろうか。
「ゲボがでた…」
というか細い声が。

ノオオオオオオオ!!!

嘔吐してるぅううう!!

カーペットに…ううううう…
何で嘔吐??

その後は何ともなかったが、翌朝朝食を軽く食べさせ、薬を飲ませて大丈夫そうかと思っていたら服用から1時間後また嘔吐orz(ただし次女はなかなか賢いので、用意しておいた洗面器に吐いていた)

これはなんだ?
タイミング良く(?)長女も前日夜から発熱が始まり、うつっている疑いが濃厚だったので二人を引き連れついでに自分の診察券も持って再び小児科を訪れた。
自分もインフルエンザの可能性が高いということで長女とあさ月は検査、次女は嘔吐の件を相談。

長女の検査は1分ほどで「やっぱりインフルエンザA型です」と結果が返ってきた。早っ。
次女の嘔吐は
「2回とも薬を飲んで40分とか1時間なので、薬との相性が悪いのかもしれないですね…。吐き気止めを出しますから、飲んでから食事やタミフルを飲んで様子を見るか、まあ無理して飲まなくてもいいのかも…」
とのこと。
そして

「お母さんは陰性ですね」

え???

時間が経ちすぎているからでしょうか?と聞いても、水曜の昼からならまだ2日、抗ウイルス薬でウイルスの増殖を抑えたわけでもない。もしインフルエンザなら確実に陽性と出るはずだという。子どもたちはリンパ腺が腫れていたが、あさ月はそうでもないなど症状にも少し違いがあるとも。

自分はインフルではない…?

「わこちゃんちであさ月が感染して緑川家に拡散した」説がガラガラと崩れていく。
じゃあ次女、あなたのインフルはどこから?(ベンザブロックの宣伝風に)
あやめ組が学級閉鎖になる直前にもらった?
謎である。

次女には吐き気止め、長女にはタミフルをもらって帰宅。
長女はやはり一刻も早く服用を開始した方が良いということで、帰ってすぐに飲ませる。
~1時間後~
「…洗面器…」by長女 以下略

電話で小児科に相談。
「それはやっぱり薬との相性が悪いんでしょうね。二人とも無理に飲ませなくてもいいと思いますよ」。

調べるとタミフルの副作用として、小児では最も多いのが嘔吐だったりする。その頻度実に24.3%。それでも我が家の小児での発現率100%って何なんだ…。タミフルと相性の悪い姉妹。
(薬を飲ませるのをやめたら嘔吐はすっぱりなくなり、ご飯ももりもり食べられるのだからやはり副作用だったと考えられる)

さて、今まで話に出てこず一人健康体で頑張っていた夫ハカセ。インフルエンザではなかったにせよ体調の悪いあさ月に代わり家事をしたり子どもたちの面倒を見たり大活躍してくれていた。
しかし日曜になって何やら喉に違和感を覚え始めたという。
火曜には絶対に外せない仕事が入っているらしい。

「そうだ、タミフルの予防投与ができるかもしれない」
あさ月はひらめいた。

タミフルはウイルスの増殖を抑える薬である。患者と接触した人が発症前に飲めば、ウイルスの増殖を抑制し発症を防ぐことができる。これを予防投与という。
一応予防投与の対象は、患者と同居している高齢者だとか呼吸器系の基礎疾患がある者だとかガイドラインみたいなのがあるが、病気に対する治療ではないため自費診療だからぶっちゃけ金さえ払えば何でもありだ。
まして我が家には今タミフルが既にある。姉妹が飲めなかったタミフルドライシロップが。
処方された薬の量から成分量を逆算する。次女の分がオセルタミビルリン酸塩にして30mg、長女の分が40mg。合わせれば70mg。大人用のタミフルカプセルだと75mgだから、5mg足りないがまあ許容範囲だろう。

長女のタミフルを1包、次女のタミフルを1包。
「さあこれを今すぐ」
ウイルスが増殖する前にそれを抑え込めるかが鍵だ。思い立ったが吉日、初回投与は早ければ早いほどいい。(本当は患者と接触して48時間以内が望ましい)
少なくとも熱が出てから飲むよりはるかに効きが良いはずだ。
子どもたちは副作用で飲めなかったし、飲まなくても予防接種の効果か2人とも2日でさくっと熱は下がってタミフルは不要だった。実はこれが一番有意義な使い方だろう。

サラサラとタミフルを口に入れる夫ハカセを見ながら長女が
「パパ吐かない…?」
と心配そうに言った。
すっかりタミフル=嘔吐という図式ができあがってしまったようだ。
大人の場合も嘔吐の副作用は報告されているが、頻度が小児とは全然違い1%とかなのでまず心配ないのであるが。
実際問題なく経過している。後は発症を抑えられるかだ…。
タミフルの力、見せてもらおう。

そしてタミフルなしでも2日で熱が下がった姉妹はとても元気だが、まだ出席停止で自宅から出られない。姉妹同時だったのは幸いであるが、特に次女の方が退屈を持て余している。でもって夫ハカセも1日休んでくれたが、あさ月は2日有給を減らすことになった。半日休暇にすれば4回分。PTAなどの行事4回こなせたのに…もったいなさすぎて、涙。


     
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2015年01月16日 12:00
通院日〜本当は怖い家庭の医学的展開キター
 ( あさ月さんのプロフィール)
久々に通院日の話である。

今回は年に一度のレントゲン撮影の日だった。そんな頻度で良いの?!だが診察で

「えーと、親指の付け根にびらんがあるのはずっと前からだし…他は…手首の骨の隙間がないけどこれも前からだし…左手も手首だけ…足の骨も綺麗…全く心配するほど進行してないですね」

ということなのでこれでいいらしい。

ちなみに肩には謎の白いかけらが浮かんでいて

「これは…?ちょっと分かりにくいけどリウマチとは関係ない年齢的な腱板炎っていうか…」

「五十肩ですか」

「あーそうそう」




「ただ血液検査の結果が…肝臓の数字がすごく悪くて、何か心当たりあります?薬飲んだりした?ちょっとGOTとGPTしか測ってないから詳しいことはわかんないけど、特にGPTが…普通だったら20とかのものが108あるから」

ディスプレイを見ると、普段はMMP-3とヘモグロビンくらいしかない異常値の赤字がダーッと増えている。

「薬は飲んでないです。思い当たるのは…今PTAの役員をやってて、つき合いでお酒を飲むことが増えたかなって。前にも一度お酒で肝臓の数値が悪くなったことがありましたよね?」

「でもあの時のは今回に比べたら全然大したことなかったけど、今回は相当悪いからねー。リウマトレックスの副作用の肝機能障害は、もう長い間この14mg飲んでて何ともなかったんだから今更急にっていうのはまず考えられないけど、それでもここまで悪いと薬を減らして肝臓の負担を減らさざるを得ないです。今1週間7カプセルを5カプセルに減らします。それで様子を見て、次は早めに来てもらって再検査して…」

「うっ、休みが…かなり厳しいです」
すっかり次来るのは年度が変わってからだと思っていたのだ。

「それなら肝臓の血液検査くらい普通の内科でできるから、この検査結果を持って、『こういう状態だったので再検査をしてほしい』って言えば大丈夫。
薬減らして、禁酒して、2週間経って再検査して数値が下がってるようならそれでいいです。もし下がってなかったら早めに予約を入れて来てもらって、消化器内科に院内紹介状を出します」

先生はごっそりと検査結果のプリントアウトをくれた。通院頻度が低いので、3年くらい前からの検査結果が収まっている。MMP-3がずーーーーーっと150を軸にうろうろしているなあ…。

リウマトレックスを減らしたので痛みが出るかもしれないからとロキソニンもごっそり出してもらった。

「それじゃ、必ず2週間後に再検査してもらってね。絶対ね。肝臓は甘く見ない方がいいですよ」

初期の「本当は怖い家庭の医学」的展開キター!

初期の「本当は怖い~」だと大抵この後忙しかったりめんどくさかったりうっかり忘れたりして受診をさぼるのだ。そして気づいた時には既に…というバッドエンド。
いやいやいやいや、自分はそのルートに乗ってはいけない。2週間後には病院へ行こう…。


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2015年01月16日 12:00
通院日〜本当は怖い家庭の医学的展開キター
 ( あさ月さんのプロフィール)

久々に通院日の話である。

今回は年に一度のレントゲン撮影の日だった。そんな頻度で良いの?!だが診察で

「えーと、親指の付け根にびらんがあるのはずっと前からだし…他は…手首の骨の隙間がないけどこれも前からだし…左手も手首だけ…足の骨も綺麗…全く心配するほど進行してないですね」

ということなのでこれでいいらしい。

ちなみに肩には謎の白いかけらが浮かんでいて

「これは…?ちょっと分かりにくいけどリウマチとは関係ない年齢的な腱板炎っていうか…」

「五十肩ですか」

「あーそうそう」




「ただ血液検査の結果が…肝臓の数字がすごく悪くて、何か心当たりあります?薬飲んだりした?ちょっとGOTとGPTしか測ってないから詳しいことはわかんないけど、特にGPTが…普通だったら20とかのものが108あるから」

ディスプレイを見ると、普段はMMP-3とヘモグロビンくらいしかない異常値の赤字がダーッと増えている。

「薬は飲んでないです。思い当たるのは…今PTAの役員をやってて、つき合いでお酒を飲むことが増えたかなって。前にも一度お酒で肝臓の数値が悪くなったことがありましたよね?」

「でもあの時のは今回に比べたら全然大したことなかったけど、今回は相当悪いからねー。リウマトレックスの副作用の肝機能障害は、もう長い間この14mg飲んでて何ともなかったんだから今更急にっていうのはまず考えられないけど、それでもここまで悪いと薬を減らして肝臓の負担を減らさざるを得ないです。今1週間7カプセルを5カプセルに減らします。それで様子を見て、次は早めに来てもらって再検査して…」

「うっ、休みが…かなり厳しいです」
すっかり次来るのは年度が変わってからだと思っていたのだ。

「それなら肝臓の血液検査くらい普通の内科でできるから、この検査結果を持って、『こういう状態だったので再検査をしてほしい』って言えば大丈夫。
薬減らして、禁酒して、2週間経って再検査して数値が下がってるようならそれでいいです。もし下がってなかったら早めに予約を入れて来てもらって、消化器内科に院内紹介状を出します」

先生はごっそりと検査結果のプリントアウトをくれた。通院頻度が低いので、3年くらい前からの検査結果が収まっている。MMP-3がずーーーーーっと150を軸にうろうろしているなあ…。

リウマトレックスを減らしたので痛みが出るかもしれないからとロキソニンもごっそり出してもらった。

「それじゃ、必ず2週間後に再検査してもらってね。絶対ね。肝臓は甘く見ない方がいいですよ」

初期の「本当は怖い家庭の医学」的展開キター!

初期の「本当は怖い~」だと大抵この後忙しかったりめんどくさかったりうっかり忘れたりして受診をさぼるのだ。そして気づいた時には既に…というバッドエンド。
いやいやいやいや、自分はそのルートに乗ってはいけない。2週間後には病院へ行こう…。


     
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2015年01月06日 12:00
書き初め
 ( あさ月さんのプロフィール)
ぎりぎりあけましておめでとうございます
ずっと忙しくブログの更新もままならず、年末年始休暇も暦の並びが悪く(W大は29日まで通常営業のため)短い帰省をするだけで精いっぱい。 その上大晦日の午前4時まで年賀状書きに追われた。12月31日午前8時30分、実家の地域の本局まで持ち込んで投函したがリアル知人の皆様(特に関東方面)にはきっと1月3日前後に届いたに違いない。申し訳ない。
さて、先月の話だが小学校の学校公開があった。今時は授業参観とは言わず、公開日である数日間のうち好きな授業を見に行って良いというものなので先生も児童も親も普段着普段通りである。ある一時間(大抵は5時間目)が設定され、気合の入った授業、先生はスーツ姿、お母さんもおめかしというのは過去の風景だ。今もこの形式の授業参観を行っている地域もあるらしいが、「いつも行われている授業の様子を見る」という目的に適うのは学校公開方式であろう。
学校公開の場合授業はエンタテイメント性を全く考慮していないので「では○ページの練習問題をやりましょう」なんて時間が結構長い。まあそれはそれで教室の掲示物を眺める時間にできる。
今張り出されているのは書道で書いた文字である。書き初めの練習でもあるのか「お正月」。

なんでうちの子のだけ
莫山先生テイスト
なんだろう…。




本年もどうぞよろしくお願いいたします。




       
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2015年01月06日 12:00
書き初め
 ( あさ月さんのプロフィール)
ぎりぎりあけましておめでとうございます
ずっと忙しくブログの更新もままならず、年末年始休暇も暦の並びが悪く(W大は29日まで通常営業のため)短い帰省をするだけで精いっぱい。その上大晦日の午前4時まで年賀状書きに追われた。12月31日午前8時30分、実家の地域の本局まで持ち込んで投函したがリアル知人の皆様(特に関東方面)にはきっと1月3日前後に届いたに違いない。申し訳ない。
さて、先月の話だが小学校の学校公開があった。今時は授業参観とは言わず、公開日である数日間のうち好きな授業を見に行って良いというものなので先生も児童も親も普段着普段通りである。ある一時間(大抵は5時間目)が設定され、気合の入った授業、先生はスーツ姿、お母さんもおめかしというのは過去の風景だ。今もこの形式の授業参観を行っている地域もあるらしいが、「いつも行われている授業の様子を見る」という目的に適うのは学校公開方式であろう。
学校公開の場合授業はエンタテイメント性を全く考慮していないので「では○ページの練習問題をやりましょう」なんて時間が結構長い。まあそれはそれで教室の掲示物を眺める時間にできる。
今張り出されているのは書道で書いた文字である。書き初めの練習でもあるのか「お正月」。

なんでうちの子のだけ
莫山先生テイスト
なんだろう…。




本年もどうぞよろしくお願いいたします。




       
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2014年09月21日 12:00
信じそうになった
 ( あさ月さんのプロフィール)
昨日、家族でお寿司を食べに行ったときの話である。あ、もちろん回る寿司である。

夫ハカセがサビ抜きのまぐろを見つけて長女に取ってやった。
食べようとした長女
「虫がついてる(>_<)」
本当だ。小バエのようなのが一匹ネタに張り付いている。
店員さんを呼んでその旨伝えると「申し訳ありません、すぐに取り替えて参ります」とお皿を持って行き、本当にすぐ戻ってきて「申し訳ありませんでした、こちら新しいものです」とサビ抜きまぐろの皿を置いていった。
「早っ」と長女が言うと次女が

「そりゃそうだよ!




自信に満ちた即答に「えっ、そうなのか?」と一瞬本気で信じそうになった。

いや、そんなわけはないと思うが、思う…うーん。

しかし次女はなぜそう思ったのだろう。そんな姑息な手段がぱっと思いつくとは、阿漕な商売の才能があるかもしれない。

そして夫ハカセは他にも、長時間回り続けていたのか見るからにネタは乾燥シャリもかぴかぴという皿を取っていたが(これは本人が食べた)
もうちょっと取る皿を見極めてほしいと切に願う。阿漕な商売のカモにされるタイプだ。


   
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2014年09月07日 12:00
ベタさん危機一髪
 ( あさ月さんのプロフィール)

お盆期間は実家に帰省していた。
夫ハカセとほぼ入れ替わりでそれぞれの実家に帰省したので、あさ月が大阪にいる後半はハカセが自宅となるためベタさん(魚)の世話をお願いしていた。
ところが帰宅の2日ほど前から「餌を食べなくなった」とメールが入っていた。
そしてお盆が終わり子どもたちを連れて帰宅。
「ただいま~」
既に暗い時間帯だったので、部屋の灯りを点けて真っ先にベタさんの水槽を見た。

「なんっじゃこりゃあああああ!!!」

水槽の底に力なく沈むベタさん。しかもなんか黄色っぽい埃のような物にまみれている。ヒレは畳まれていて、なんか癒着もしているようだ。かろうじてエラは動いているがかなり危険な感じが漂う。
「べ、ベタさん!餌だよ!ごはんだよ!」
以前なら狂喜乱舞した(文字通り水中を上へ下へと踊り狂うのである)餌の袋を見せても無反応。重症だ…

とりあえず水が汚れていそうなので急いで水替えをする。緊急時なので全換水である。洗っておいた綺麗な瓶に作り置きの水を満たし、ベタさんだけを移し替える。
そしてネットで症状を検索(もはや子どもたちの晩ご飯の用意より優先)。どうやらこれは「こしょう病」という魚の病気らしい。ごく小さな寄生虫の一種だというが、単独飼育で飼育水は元を正せば水道水。寄生虫などうつるはずがないと完全に油断していた。だがペットショップから最初に買ってきた時の水に潜んでいて、今まで全換水はほぼしたことがなかった(3分の1ずつなど)から生き延びていたのかもしれない。(全換水でもベタさんの体に付着していればついてくるだろうし)
あさ月が帰省に出発する直前から少し元気がないような、色がくすんでいるような気がしたがどうやらそれが病気の前兆で、帰省中水替えの頻度が下がったことで水質が悪化し一気に発症したものと考えられた。

治療法は魚用の薬、あるいは塩水浴も良いと書いてある。今こそ役立つのかメチレンブルーの知識が(参考記事→■ )。と思ったが、薬は魚の体に負担が大きいとも書いてあるし、今から買いに行こうにも時間が遅い。とりあえず塩なら家にもあるからまず塩水浴を試してみることにした。一刻も早く対処しないと危険そうだ。

<塩水浴の水の作り方>
 0.5%塩水。1リットルの水に5gの塩を溶かすと0.5%である。あさ月はキッチンスケールを持っているので量ったが、なければ料理用の小さじ1が約5gらしい。でもキッチンスケールのない家には小さじもないか…
塩は普通の食塩でいいらしい。家には「沖縄の塩ヨネマース」しかなかったのでそれを使ったが、伯方の塩しかりこういうミネラル分が入っているの(粗塩)は賛否両論。ミネラル分がpHを上げるからよくないとか、ミネラル分が体表面のぬるぬる成分の保護に働くから良いとか。アジシオは不可。

焦っていたあさ月はいきなりベタさんのいるところに計算した量の塩をぶちこんだ。多分良い子は真似してはいけない。
幸いうちのベタさんは無事だった。相変わらず底に沈んだままで時々口をぱくぱくしている。
ネットによると病気がエラにまで広がると呼吸できず死ぬらしい。
翌日は仕事に行ったが、帰ってきたら死んでいるのではないか…と気が気ではなかった。

果たして帰ってくるとベタさんは生きていた。

翌日も生きていた。

そしてその翌日の塩水浴3日目、帰ってきたあさ月の姿を見てひらひらと餌くれダンスを踊りだした!
リクエストに応じて餌を放り込むと2粒食べた!

よかった……!

それからは薄紙を剥ぐように日々元気を取り戻し、気がつけば埃のような物もすっかり消えて鮮やかな体色になっていた。

実は淡水魚は体に入ってくる真水を処理するために腎臓をフル稼働させていて、0.5%程度の塩分が入っている方が体液の組成に近いために腎臓の負担が減って楽なのだそうだ。「元気がなくなった魚には塩水浴を」というのはこういう理屈がある(「動物のお医者さん」で金魚が無気力だと相談を受けたハムテルが「塩をひとつまみ入れてみてはどうでしょう」とアドバイスしたのは間違っていないのだ。ただし金魚鉢のサイズによってはひとつまみじゃ全く足りないかもしれない。先に書いた5gの塩も結構しっかりした量である)。
塩には殺菌効果もあるため各種の細菌感染症にも有効、寄生虫も塩分に弱いため寄生虫感染にも有効だ。
良いことずくめのようだが、塩分は水草にダメージを与える。だがあさ月の場合ビン飼育で人工の水草しか入れていないから特に問題ない。

それより塩水浴のデメリットは
・溶存酸素量が減る
・比重が変わる
・pHが上がる
あたりが魚の命に直結するところだろう。

しかしベタはラビリンス器官という呼吸器を持ち、空気を直接取り込める。そのため溶存酸素量が少ない水でも生きられるという特徴を持つ。
強いて言えば息継ぎをしなければならないので、水深が深すぎるとただでさえ病気で弱っているのに水面に顔を出すのに体力を消費して死んでしまうことがあるらしい。
比重・pHはよくわからない。比重に関してはエラ呼吸しか出来ない魚の場合は水に沈みにくくなるので辛いそうだが、ベタは逆に水面に顔を出さないといけないので浮力がある方が楽とも言えるし…。
pHは弱酸性の水を好むベタにはアルカリ性になると確かによくないのだが、どのくらい上がるのかははっきりしない。
あと、濾過器を使ってバクテリアによる分解を行っている水槽の場合そのバクテリアが死んでしまうのが大きなデメリットだが、ビン飼育なら関係が無い。

結論:ベタを濾過無し・水草無しで飼育している場合、塩水浴にデメリットはあまりないっぽい。

病気が重度だとやはり薬は必要らしいが、とりあえず塩水浴を試してみて損はないのではないだろうか。
(薬は入れすぎると毒にもなるので、小さいビンで飼育している場合量の加減が難しそうだというのもある)

現在のベタさんは餌もよく食べ、多くの時間中層~上層をひらひら泳いでいる。底で寝ているらしきときもなぜかヒレをぴーんと立てているので、ヒレを全部畳んで底にじっと沈んでいるというのはいかに異常であったかということだ。
またベタは目が良い魚だと聞くが、実際目をくるくるとよく動かして色々な物を見ている。具合の悪いときは全く視線が動かずまさしく「死んだ魚のような」目をしていた…

いやー危機一髪。
もう生死の境をさまよわせるようなことはしたくないので、今は水替えもまめに行い、小型のビンながらデジタル水温計も設置した。もうすぐ寒くなるのでヒーターも設置する。
ベタさん本体よりはるかにカネがかかっているが、ベタさんが可愛いからいいのだ。近所では売っていない用品を買いにわざわざ新宿の有名ショップまで足を運び、そこで売られているベタを見たがうちのベタさんの方が断然可愛かったし。
まさに親ばか。


   
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2014年08月24日 12:00
ネガティブシンキング
 ( あさ月さんのプロフィール)
大阪に帰省中の話。
どこかにお昼を食べに行こうということになり、せっかくだから東京では行けないところがいいねということになった。

「びっくりドンキーは?ハンバーグ」と妹ナッちゃん。
「ああ、東京(のあさ月たちが住む周辺)にはないわ。長いこと食べてないから行きたいかも。チーズハンバーグ好きやってん。美味しいよな」
「あそこやったら子どもらも楽しいんちゃうん。でっかいメニューをバンッって広げて置いてくれて」
「ああ、そうやったっけ?」

ハンバーグ店のびっくりドンキーは西部劇に出てくるような店構えで、メニューも西部劇の酒場のドアのような形の板を三面鏡のように開いて立てるのだ。

「ただあのメニューばーんって倒れてきて当たったらめっちゃ痛いやろけどな、ははは。
あとはベビーフェイスプラネットとか?個室になっててオムライスとかパスタとかの店。
ミントはどっちがいい?ハンバーグかオムライスか(^^)」

聞かれた長女は深刻そうな顔で言った。

「ハンバーグには心惹かれるけど…
メニューが倒れてきて当たったら嫌だから…」


どんだけネガティブシンキング!!!

以前の「胸に刺さる缶バッジ」の話(参考記事→■ )もそうだが、長女の思考はベクトルがおかしい。

「倒れてけえへんって!!(笑)」
「ごめんごめん、ナッちゃんが変なこと言うたからやんな、大丈夫やで(笑)」
「大阪のギャグの一種やから!すぐ話盛るねん!大げさやねん!ほんまはそんなことあらへんから」

「そう…それならハンバーグがいい(^^)」

というわけでびっくりドンキーに向かった。

席に案内され、ウエイトレスのお姉さんが件のメニューを持ってきて

広げてテーブルの上に寝かせて置いた。


「え…マジでこれ倒れてきて当たった人おるんかな…」


ヒソヒソする家族であった。


   
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2014年08月16日 12:00
のりもの
 ( あさ月さんのプロフィール)

夏休みの宿題をやっている長女が、突然キレ気味に

「ねえ、『ず』って乗り物あるの!?」

と聞いてきた。
意味が分からず長女が開いた問題集を見ると、下線部を漢字にする問題で


「少しズに乗りすぎたようだ。」


と書かれていた。


それは「調子に乗る」と同義であることを教えた上で、ではどういう漢字になると思うかと聞くと

「…頭?」

残念。


       
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2014年08月07日 12:00
通院日~診察<帰省みやげを買う
 ( あさ月さんのプロフィール)

ものすごく久しぶりだが、通院日の話である。このところ通院間隔が3か月に1回まで延びているので、記事化するタイミングを逃すとあっという間に半年9か月経ってしまうのだ。
検査結果は


CRP 0.1
MMP-3 133
血沈 18


CRP以外はちょっと異常値で毎回同じくらいの値だ。3か月に1回の「毎回」はすなわち半年や9か月値が変わっていないことを意味する。良くも悪くも安定してしまっていて、主治医も最近は生物学的製剤を勧めることもしなくなってきた。試しに水を向けてみたこともあるが「んー、このくらいだったら今のまま(リウマトレックス)でいいんじゃない?」とのこと。


確かに、たまに手や肩・ひざの関節が痛くなることもあるが、その頻度が高いわけではない。またその痛みはロキソニンが効くことも多いし、効かなかったとしても半日から長くても1日我慢すれば大抵治まる。要するに日常生活に大きな影響を及ぼしてはいないのだ。だったら、コストパフォーマンス(金銭面だけでなく、通院の頻度が上がることやなんかも含め)を考えると今のままでいい、というのも一理ある。
とは思うが、はるばるT大病院まで来て1時間半待って「変わりないですね」「じゃあまた一緒でいいですか」「はい」で3分もかからないのは少し寂しいと思ってしまうのもまた真実だ。


仕方ないので(?)今回は帰省のみやげをT大で買ってみることにした。
実家の母は関空でクリーンレディ(=掃除のおばちゃん、でもユニフォームは確かにおしゃれで「クリーンレディ」な感じ)をしている。仕事場の空港には土産物屋が沢山あり、地元大阪のもののみならず全国各地の代表的な土産が売られている。そう、「東京ばな奈」など母はいつでも入手できるということだ。わざわざ東京から買っていく意味はない。しかしさすがにT大グッズは関空にも置いていないだろうと踏んでのチョイスである。


時計台のある安田講堂の裏手にある大学生協に入ると、奥に「T大グッズコーナー」が作られていた。多いしな、観光客。食べ物ならT大まんじゅう、T大ゴーフル、T大クッキー、T大のど飴…
てか、高い。T大まんじゅうとか1個あたり100円である。のど飴も大して入っていないのに500円する。T大植物園で採取された植物を原料として作られているらしく、希少なのはわかったがのど飴としては明らかに高価である。それを売ってしまうT大ブランドの力恐るべし。
とりあえず見栄えと軽さの面でゴーフルを選択したが、メーカーは「上野風月堂」これって神戸にもなくないか?
外箱に赤門が描かれているというだけの価値か…。まあいいか。神戸風月堂のゴーフルは家族全員好きである。


会計に持っていくと、「TOKYO UNIVERSITY CO-OP」と控えめに文字の入った丈夫な手提げ付き紙袋に入れてくれた。土産物対応ばっちり。やっぱりここは観光名所らしい。


それより、W大病院職員である自分にとってT大は今や商売敵ではないか。グッズを買うなど、敵に塩を送ってどうする。でもW大には土産にできそうな、というより土産にできようができまいがオリジナルグッズなどない。
仕事場でそんな話をしていると事務員No.2十和田さん(30代女性)が「妄想W大グッズ」ネタを披露してくれたが、内容がブラックすぎてとてもここには書けない…。



第一商売敵云々いうなら、そっちの病院に通院していることがまずダメなんじゃないかと思う。



   
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2014年07月27日 12:00
ペン持ち去り事件の真相(駄)
 ( あさ月さんのプロフィール)
まだ某講座の内藤先生の部屋で一人事務のような秘書のような仕事をしていたときの話。
内藤先生のコンサルトを求めて(「コンサルトを求める」って「頭痛が痛い」みたいなことになってるような…スルーしてください)他の先生が部屋を訪れることが時々あった。特に臨床の先生(医者として患者を診る人)が多い。内藤先生は、臨床の先生が疎いが研究には必要な分野の専門家なのである。

で、それらの先生が
「おっと、ペンを忘れた」
とおっしゃることがたまにある。
もちろんあさ月は事務用のペン立てからペンを一本取り、笑顔でお貸しする。
「いやあ、すみませんねえ」

ところがこのペンが返ってきたためしがない!!

脳神経外科のちゃかちゃかした先生も、循環器科の超偉い先生も、そのペンを持って行ってしまった。まあ研究費で買われたものだしストックも十二分にあっていくらでも新しいのを出してくるから構わないのだが、なんで持って行っちゃうかなーとは思っていた。

そして現在。あさ月は研究サポートセンターに勤務しているがたまに仕事の指示を受けたり指導を受けたりするために内藤先生の部屋を訪れる。
先日もそのような機会があった。勝手知ったる…ってなもんでペン立てからペンを借りてメモを取るなどして、一通り打ち合わせを済ませてセンターに戻った。
席に着いてメモを整理すべく、胸ポケットのペンを…

ペ ン が 2 本 あ る

あさ月は理解した。白衣だ。白衣のせいなんだ。
白衣の人は白衣の胸ポケットにペンを挿しておくのが癖になっていて、どんなペンであれ使い終わったらナチュラルに胸ポケットに挿してしまうのだ。
そしてペン持ち去り犯となってしまうというわけだ。

あさ月は次にまた訪れたときにそっとペン立てにペンを戻しておいた。ふー、やれやれ。

そしてセンターに戻り自席に着いてしばらくして、胸ポケットに今度はシャープペンシルが増えていることに気づいたのだった。

ちなみに臨床の先生がペンに無頓着な理由はもう一つ、病院には製薬会社の販促でもらうペンが腐るほどあるからなのではないかと思う。研究サポートセンターも病院の組織なのでやはりボールペンなら薬の名前が入ったのがうなるほどあって、無くなったらまた新しいのを出せばいいやくらいの感じでしかない。
しかし製薬会社にとってはそれでは販促の意味をなさないんじゃないだろうか。
と、製薬会社も思うのかボールペン以外の販促アイテムも色々ある。メモ用紙、メモを貼れる磁石、付箋、デジタル時計、ティッシュ、カレンダー(これは年末だけかもしれないが)etc.。
最近では「うちわ」というのがあった。持ってきた製薬会社の人が話しているのが聞こえてきたが、
「時節柄、サッカーで…ワールドカップですから」

うちわの片面で、胃の形のキャラクターたちがサッカーボールと戯れていた。
胃…
(でも朝クーラーが効いてくるまでの間ものすごく重宝している、このうちわ)


   
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2014年07月14日 12:00
母の勘
 ( あさ月さんのプロフィール)

1ヶ月近く前の話だが、仕事中、終業10分前に次女の幼稚園から電話がかかってきた。
「ライムちゃん、顔が赤くて辛そうだったので検温したら38.5℃ありました。なるべく早くお迎えに来ていただけませんか」
なるべく早くと言われても今から事情を説明している間に終業時間になるであろう。そして毎日最短最速で迎えに行っているので普段以上に早く着くことはあり得ないが、とにかく分かりましたと答えて電話を切った。
迎えに行くと確かに発熱でしんどそうである。自転車で連れて帰り、寝かせた。
しかし発熱以外の症状が見当たらなかったので病院には行かず様子を見た。もし熱が下がらなければ翌日土曜午前の診察に行こうと思っていたが、翌朝には解熱してすっかり元気になった。

その翌日日曜日、長女が「わたしもライムの風邪がうつったかも…」と言っていた。少し咳が出ているようだった。

そして翌月曜のことだ。次女は元気に幼稚園に行っており、あさ月も定時まで仕事をして幼稚園にお迎えに行き帰宅した。「ただいまー」と声をかけるが返事がない。先に帰宅している長女は普段ならまず鍵を開ける音を聞いて出てくるのに変だと思いながら中に入ると、リビングで長女が倒れていた。
「何?どうしたの?!」
長女は薄目を開けて「寝てた…」と言う。だが身を起こすと咳き込み、「頭が痛い」と言って大泣きし始めた。
どこがどうというのではないが、緊急性を感じる。時計を見ると17時55分、かかりつけの小児科の診療終了5分前である。徒歩3分くらいのところだが、ギリギリなので診察券を用意してそこに書かれた番号に電話。「ぎりぎりで大変申し訳ないのですが、今帰宅したところ子どもの具合が悪くて、5分くらいですぐに伺いますから診ていただきたいのですが…」と言うと医師に確認しているらしき間の後「すぐ来てもらえるなら大丈夫です」とのこと。
自分と次女は帰った時の格好のままだからそのまま、長女だけ靴下を履かせて即家を出た。
歩くのも辛い様子だったが、小学生は自転車の子ども椅子に乗せられないし、自家用車は持っていないしあっても都心の小さな小児科には駐車場もないしタクシーを呼ぶような距離でもないしで支えながら歩いてもらった。

病院につくとまだ3組の親子が診察を待っている状態だった。受付で症状を説明して検温すると驚いたことに36.1℃と平熱である。
20分ほど待って、診察に呼ばれた。
・下の子どもが先週末発熱していて、その風邪がうつったかもしれない。少し咳はしていた。
・頭が痛い
という説明を繰り返す。

「昼間長い時間太陽の下にいたり、暑い部屋にいませんでしたか」先生は熱中症を疑っているようだ。その日は確かにかなりの高気温で、帰ってきたときリビングも非常に蒸し暑かった。実はあさ月もその可能性は少し考えていた。

「じゃあ胸の音を」と聴診器を当てた先生が「んっ?」と驚いた。

「ゼーゼーとぜんそくのような音がしてますね」

背中を向けると
「やっぱり間違いないですね。ここがペコッとへこみますよね。これはぜんそくです」
言われて見ると、背中側、肋骨の下の方の皮膚が息を吸うのと一拍遅れてペコッとくぼむ。後で調べると、気管支が狭まり空気が入らず陰圧になるのでへこむらしい。陥没呼吸というそうだ。

「頭痛もぜんそくのせいでしょう。息が吸えなくて酸素不足になりますので。…ミントちゃんはぜんそくで薬を飲んでいたことがありましたっけ」
「ありましたけど、数年前の幼稚園の頃ですが…」

幼稚園の年少の秋が最初だった。朝、幼稚園に送って行こうとしたら咳き込みだしてうずくまり立ち上がることもできなくなったので慌てて幼稚園には欠席の電話を入れ、この小児科に連れてきたところ「ヒューヒューバリバリとぜんそくのような音がしている」と言われ、気管支拡張剤やぜんそくの予防薬を数日分もらった。
以来、年中の春、年中の秋と半年ごとに同じような「ぜんそく」を2回起こしたが、年長以降は何もなかった。

「小学生になると身体も丈夫になってきますから症状も出なかったんでしょうね。もう9歳ですからお薬も錠剤で出します。今日はこれから吸入をして、お薬で様子を見て、症状が治まったら明日は登校しても大丈夫ですよ」

吸入後にもう一度聴診してもらったが、まだ右胸が開ききっていないとのことで、気管支拡張剤の貼り薬に期待することになった。遅い時間に来たことを謝りお礼を言い、調剤薬局で薬をもらって帰った。
薬を使うとずいぶん楽になったようで、翌日は普通に学校に行った。


が、「病院に連れて行って良かった…危なかった…」としみじみ思った。次女は様子見で長女を即受診させた自分GJ!!母の勘は当たっていた。

しかし正直ぜんそくだとは全く思っていなかった。表面上は咳もほとんどしていなかったし、ゼーゼーとかヒューヒューとかも言っていない。医師でさえ聴診器を当てて初めて分かったのだから無理からぬことだが…。


ぜんそくと知っていろいろ調べると、ゼーゼーヒューヒューといわないが呼吸困難を伴う方が重症だの、ぜんそくで胸が苦しいため嘔吐することがあるだの、アレルギーマーチはひどい乳児湿疹からアトピー性皮膚炎→幼児期の気管支ぜんそく→学童期のアレルギー性鼻炎と進むのが典型だのと気になる記述が出てくる出てくる。
そういえば長女は風邪をひくと嘔吐しやすいがあれはもしかしてぜんそくのせいだったのかとか、乳児の頃湿疹がひどくて近所の皮膚科に駆け込み、今年は引っかかってないが去年一昨年と学校の耳鼻科検診でアレルギー性鼻炎で引っかかって薬を飲んでいたのはアレルギー体質として順当にコマを進めちゃってたんだとか…


とにかくこれまでそんなに大きくない発作を見逃してきたような気がしてきた。過去何度も、熱や鼻水はなく風邪っぽい感じもしないのに咳はしているという状況があったのだ。見るからにぜんそくというゼイゼイがないから分かりにくい。
母の勘に頼るのもいいが、ここはひとつ聴診器を買っちゃおうかなとか思い始めている。単にまず自分がほしいだけという話もあるが。
個人病院受付のバイトをしていた大学生の頃、看護師さん用グッズカタログを見て「こんなに安い(業務用なのもあって4ケタ行かないのもあった)んだったら一つほしい」と真剣に考えピンクと水色どっちが可愛いかまで具体的に検討していたのだ。職場でまとめて発注する形式なので頼みようがなく購入には至らなかったが。
カタログには色とりどりのナース服なども載っていた。ナース服マニアには垂涎ものかもしれない、あのカタログ。



   
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2014年07月09日 12:00
(ペットの)親ばか
 ( あさ月さんのプロフィール)

↑ネーミングセンスのない長女に危うく「ベレキン」と名付けられそうになった(参考記事→■ )我が家のベタ(魚)であるが、早くもやってきて1ヶ月近くが経った。
ベタは人に馴れると事前に知識を得ていたが、本当だった。人を見かけるとすばやく寄ってきて、ひらひらひらひら左右に動き口をパクパク、「餌をくれ」とアピールする。
こちらが横からそーっと観察していても、目が合うと気づいて胸びれをパタパタさせながら寄ってくる。

かわいい

ペットの飼い主が「親ばか」になる気持ちが分かった。

魚と言えば昔「AQUAZONE」という熱帯魚育成シミュレーション(PCソフト)をやっていたことがあるが、このソフトに「人に馴れる」という観点は組み込まれていなかった。ひたすら水槽の美しさを追求し、あと「魚を死なせない」ということが目的であった。水質・水温管理、餌の量などに気を配る日々(ソフトを起動していない間も水槽の中の時間は現実世界と同様に進むので世話を怠れない)に疲れ、姉妹ソフトの小鳥育成シミュレーション「pinna」が出た時点でそちらに乗り換えてしまった。「美しい水槽で癒される」という謳い文句だったように思うが、神経をすり減らして疲れたような気がする。

鳥は魚よりラクに楽しめた。鳥は普通にしていればまず死なないからだ。しかし、さすがは姉妹ソフト、やっぱり「人に馴れる」という観点がなかった。毎日世話をして、繁殖させ雛から見ていても、自分の存在は一切スルーなので虚しくなりパソコンの買い替えを機にやめた。
20匹30匹いる熱帯魚が人に馴れないのは仕方ないが、鳥は1~2羽なのだし人に馴れるというプログラムにしても良かったのではないか?と思う。どんな生き物でもなつかれればより愛おしくなるものだ。

しかしその一方で、AQUAZONEでも多数いる熱帯魚にも名前を付け識別することは容易にできた。なにしろ一匹一匹プロパティ画面が開くから。プロパティから名前を変更できるのである。
その機能を用いて当時の彼氏が自分とあさ月の名前を魚に付けたら(あさ月にはその感覚は理解できないが…)、その2匹がペアリングして卵を産んだという。
「他に魚はいっぱいいるのに、この2匹がペアになったことに運命を感じるよ♪」という彼氏のメールに

「それは名前がついている魚とついていない魚がいる場合、ついている魚はユーザが特別扱いしていると見做して優先的に繁殖させるプログラムなんだと思いますが。全部に名前がついている、もしくはどれにも名前がついていない場合のみランダムで繁殖。もしくは名前を付けるとき、大きい魚を選びませんでしたか。体の大きい個体ほど繁殖に有利なのは自然界の常識で、それがプログラミングされている可能性があります」

と返信した。

全部当てはまっていたようで、今でも的確な推察だったなと思っている。元彼は涙目だったようだが、後悔はしていない。


   
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2014年06月29日 12:00
好きだけど、…
 ( あさ月さんのプロフィール)
多少の紆余曲折を経て、無事W大正職員となったあさ月。
臨時職員だった頃は医学部の所属であったが、現在の所属は研究サポートセンター。このセンターが属するのはW大学医学部附属病院であり、従ってあさ月も病院職員ということになる。

顔合わせで内藤先生とセンターを訪れたとき、事務の川中さん(センターの事務を取り仕切る有能な女性である)に訊かれた。

「制服ってどうします?」

書類上の職種は「事務員」であるからW大の「いかにも事務員」なグレーのベストとスカートの制服も着られるし、上から羽織る白衣でも良いとのこと。某講座では講座秘書さん達も白衣を着ていた。

「実際にはデータマネージャーだしまあ白衣だろうね。事務の制服、着たい?」と内藤先生。
「いえ、特には」
着替えが面倒そうだ。

「じゃあ白衣の手配をしておきますね」

数日後、新品の白衣が3着届けられた。早速1着を開封し、羽織ってみる。


なんとも言えず


萎え~~~~~


な気分になる。

あさ月は白衣が好きだ(参考記事→■ )。それは他人が着ているのを見るのが好きなのだ。決して自分が着たいわけではない。
ナース服が好きな男性だっていると思うが、その男性がナース服を着たらやっぱり「萎え~」な気分になると思う。それ以前の問題のような気もするが。

しかし萎え感はともかく、楽である。洋服のレパートリーがなくても上から白衣を着てしまえば目立たないし、白衣さえ着ていればW大のどこでもフリーパス(?)だ。職員であることが一目で分かり、肩身の狭い思いをすることがない。悔しいが白衣さまさまだ。

ちなみにこの白衣、病院では週に一度所定の場所に置いておくと回収してまとめてクリーニングし、届けてくれる。完全にシステム化されていて、洗濯の心配は要らない。病院全体では軽く千着以上に及ぶのではないかと思う白衣がドバーッと洗われズバーッとプレスされる様を思い浮かべるとなかなか圧巻である。
ただクリーニングから返ってきた白衣は

…板?

と思うくらい糊がバリバリに効いているのはどうなんだろう。(着るときに襟をバリッ!ボリッ!と折らなければならないくらい)



   
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2014年06月23日 12:00
我輩はベタである
 ( あさ月さんのプロフィール)
それは期間限定専業主婦だった約1年前のことだ。
幼稚園が休みの日に、次女を連れてペットショップに立ち寄った。
「おさかな見たい!」
という次女と魚コーナーに行ったとき、棚の上に透明のプリンカップのようなものがいくつも積み重ねられ、その中にそれぞれヒレの長い鮮やかな色の魚が入っているのが目に入った。
「トラディショナル・ベタ」と棚板に貼られた紙の名札に書かれている。

(ベタか…)

小学生の頃、「ペットの飼い方」という学習本を買ってもらい、特に魚は手が届きそうだったから(狭い借家暮らしだったので犬や猫は飼えない)金魚や熱帯魚の飼い方のページは何度も何度も読んだ。おかげで無駄に「白点病」や「松かさ病」という魚の病名や、その治療に使う薬の名前まで覚えた。その後金魚は飼ったことがあるが、病気に遭遇したこともなければ薬なんて見たことすらない。今も覚えているけど、メチレンブルー。

それでメジャーな熱帯魚の種類も一通り知っているので、ベタはたしか別名を闘魚というはずだと思い出す。縄張り意識が激しい魚で、オス同士を同じ水槽に入れるとどちらかが死ぬまで戦い続けてしまう。その性質を利用して、本場タイでは闘犬のようにベタを闘わせる闘魚が行われているそうだ。
しかし見た目は非常に優雅な魚である。赤や青、紫の体色に背びれも尾びれも腹びれもひらひらと長い。あさ月が小学生だった30年前には実際にベタが売られているのを見たことはなかったが、こんな綺麗な魚だったのか。でも今は珍しくもないのかカップ詰めで沢山並んでいるし、なんと蓋には「¥480」とマジックで無造作に書かれている。ワンコイン。大人なら極めて容易に支払える金額である。思わず「買いたい(飼いたい)」と思った。

しかしいやいや生き物を簡単に考えてはいけないと、とりあえず家に帰って、ネットでベタについて調べてみる。小学生の頃とは違い便利な世の中になった。

・ベタはラビリンス器官という呼吸器を持ち、空気を直接取り込むことが出来る。そのため溶存酸素が少ない水でも生きられる。
・止水を好む。品種改良により大きく長くなったヒレが煽られて流されるので、流水はストレス。
・オスは一匹だけで飼うのが基本。ベタのオスはもちろん、メスや他の種類の魚でさえ攻撃することがある。

以上の性質から、コップや瓶で飼えると言われている。水槽の維持管理は大変そうだが、コップで良ければ飼えそうだ。でもネットでは「可能であるというだけで、それが最適というわけではない。閉じ込めるのは可哀想」「いやいや狭いところの方が落ち着く魚だから、人間の基準に当てはめて狭いところは可哀想というのは間違っている」など諸説あった。
あさ月にはどうなのか判別がつかなかったので保留にして、たまにペットショップを覗きに行くにとどめた。可愛いなあ、飼いたいけど…と思いながら一年が過ぎた。

だが先日、たまたま平日に少し早く帰れたのでペットショップに行ってみた。休日のペットショップはいつも混んでいて店員さんに声をかけるのははばかられたが、平日の夕方は客もまばらで、店員さんも余裕がありそうだ。思い切って声をかけてみた。
「あの、このベタって簡単に飼えますか?」
「ベタですか。そうですね、このくらいの瓶でいいんですけど」お兄さんはジャムの瓶くらいの大きさの瓶を出してきた。予想以上に小さい!

「ベタ専用のトリートメント剤を入れた水をペットボトルに作ってベタの傍に置いておいて、2~3日に一回、ベタを流さないように気をつけて3分の1から半分くらいジャーッと水を捨てて、ペットボトルの水を足して、あと一日一回の餌やりだけ忘れなければベタは簡単に飼えちゃいますね。それこそお子さんでも」

その時連れていたのは次女なので、さすがに幼稚園児には難しいとは思うが大人なら難しくはなさそうだ。
「じゃあ、ベタを一匹と、あとトリートメント剤と餌をください」
「ありがとうございます」
ついに購入に踏み切った!

ずっとあさ月は赤いベタが飼いたいと思っていたのだが、次女の
「ピンクがいい」
という鶴の一声で、紫がかったピンクのベタに決定。水と空気を入れた袋に詰めてもらう。後はトリートメント剤(¥950)とベタ専用餌(¥390)で、トリートメント剤が一番高かった。

そして百均で円筒型の耐熱ガラス容器を水槽として購入。さすがにジャムの瓶の大きさだと可哀想かと思えたので、体長の2倍程度の直径がある容器にした。
容器を水洗いし(洗剤NG)、水道水とトリートメント剤(カルキ抜きを兼ねている)を入れて、魚の入った袋をそこに沈めて1時間ほど放置、水温を合わせてから袋を開けて中の水とベタを放す。魚にとってこの「水温を合わせる」は非常に大切で、悪質環境には強いベタだが水温など環境の急変で命を落とすことはありうる。実はペットショップのお兄さんの「ペットボトルに水を作って”ベタのそばに置いておく”」というのは非常に理にかなっていて、同じ場所に置いておけば同じ水温になり水温急変の心配がなくなるのだ。

ベタは場所が変わって落ち着かない様子ではあるが、水質などには問題ないようで元気に泳いでいる。良かった。
子どもたちも興味深そうに見つめている。
「名前は何にしようかね」というと、長女が言う。
「ベタだから、べのつく名前がいいと思う」
「そう?」


翌日仕事から帰ると、長女が開口一番こう言った。
「あのね、ベタの名前を考えたんだけど、
ベレキン」

ベレキン…


すげえ破壊力。

「べはベタのべで、綺麗な魚だからきれ(い)をひっくり返してレキで、あと金魚に似てるからキン」

いくら由来を説明されても承服しかねる。

とはいうものの、自分はと言うと紫がかっている・オスということで「紫苑」とかいう中二病じみた名前しか思い浮かばないのだが…。

購入から10日以上が過ぎ、ベタはすっかり慣れて、人の顔を見ると胸びれをぱたぱたさせながら寄ってくる。餌がもらえると分かるとばたばたばたばた大興奮。なかなか可愛い奴である。

名前はまだない。


   
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2014年06月22日 12:00
専業主婦やめます・ファイナル!〜明るい未来へ
 ( あさ月さんのプロフィール)

その後大学から内定通知と、提出書類の一覧が届いた。どうやら本当に本物らしい。
提出書類の中には大学の卒業証明書に成績証明書、健康診断書などがありそれぞれ作成には費用がかかった。大学もあさ月の場合大阪なので郵便で定額小為替を送ったり(定額小為替の手数料が昔の10倍になっていてびっくりした。以前の10円が安すぎたんだろうが、400円の小為替に100円の手数料…)、健康診断は自費なのに医療関係だから特殊な検査が必要で2万円もかかったりと手こずらされたが(つーか医療機関なんだから自分のところの病院で検査をすれば良いのではないか?何より自前の病院なんかなくてもまともな会社なら「雇い入れ検診」をやるものだ。W大のケチさがよく分かる)どうにか片付いた。

そして3月最後の日、新しい仕事場となる研究サポートセンターで定例会議があるのでそこでお披露目を、ということになった。
内藤先生に連れられ向かう。サポートセンターはW大のはずれにあった。医学部棟から歩くこと5分強、
「あれだよ。あの建物」
「…あれ…ですか??」
…こぢんまりとしておよそ病院らしくない建物である。実際、病院の一部ではあるが、研究サポートセンターをはじめとして企画部や情報部など患者さんが立ち入らない部署ばかりが固められているので病院らしい必要がないのだ。

1Fのサポートセンター事務室が仕事場だという。

「わあ、明るい!」

医学部棟の某講座は窓がなくて暗かったのだが、ここは日当たりが良い。
「緑川さんの席はここですね」
示されたのは窓際の席で、まぶしいくらいである。窓にはレースのカーテンが掛かっていて、内藤先生が「一般家庭みたいだねえ」と感心している。

ここには事務員が3人と、治験コーディネーターの偉い人が3人いて、それにあさ月が加わる。全員女性ばかりの女子校状態。男性が圧倒的に多いSEをやっていた時期が長いし、医療事務のときも放射線科勤務でやっぱり技師さんは男性が多かったため、女ばかりの職場は初めてだ。立ち回りに気をつけつつ、上手くやっていけると良いな…と祈るような気持ちで机と椅子を眺めた。
明日からはここで働くのだ。

定例会議はセンター長の大河内教授がさらっと
「データマネージャーとして新規採用になり、明日から来てもらう緑川さんです」
と紹介し、頭を下げただけで自己紹介もせずに終わった。いいのかこれで。

会議終了後、とりあえず今日のところは某講座に戻る。
「…とまあ、あんな感じのところだけど、やっていけそう?」と内藤先生。
「…まあ…多分何とか…」
「ただ、治験コーディネーターはみんな薬剤師とか看護師とか医療職だから、下手をするとなめられる危険性があるよ。むしろその可能性が高い。

そこで考えたんだけど、データマネージャーの仕事っていうのは基本的にはデータ管理なんだけど、その前後、つまり研究デザインのアドバイスとか、データの統計解析の方にまで仕事を拡げていくのがいいんじゃないかって。
そのうち研究デザインはどんなに頑張っても医療職の方が専門だから、あんまり状況は変わらないと思う。
それなら統計解析の方はというと、これは医療職には完全に専門外だから力を見せつけられるし、武器にもなる。
実は今、医療分野の統計部門って圧倒的に人が足りないんだよ。だから製薬会社なんかはすごい高額の報酬を出してて、そういうところに取られちゃうからそこまでの高額を出せない公的機関だと来てくれる人がいなくて仕方なく多額の費用をかけて外注してたりね。
だから統計が出来るようになれば、いずれW大よりもっとずっと良い収入で働けるっていう夢が持てる。実際今も統計が出来る人を探しているところを知ってるから、全くの夢物語じゃない、実現可能な夢だよ。
頑張れば夢がつかめるってのはさ、張り合いが持てていいんじゃない?」

なんと、夫がうつで崖っぷちの専業主婦からスタートして、そこそこの有名大学の正職員になれてゴール…かと思いきやまだその先にボーナスステージがある、かもしれないというのだ。

よし、より明るい未来に向かってまた新たなスタートだ!

…何よりまずは「力」を身につけないと、職場での立場が危ういし現在の職場におけるあさ月はいわば「レベル1」である。弱すぎ。

そんなわけで、あさ月は明るい職場で明るい未来を目指しつつレベルアップに励んでいる。

(おわり)


   
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2014年06月01日 12:00
専業主婦やめます・ファイナル!〜晴れ晴れとした寂しさが
 ( あさ月さんのプロフィール)
「実は…」
面接待ちの暗い廊下で、人事部のお姉さんは告げた。

「緑川さんの採用は、もう決まっています」


び…びびらせんなよーーーーーーー!!!!!

なんだよやっぱり出来レースかよ!
超マジんなって採用試験の問題解いちゃったじゃないかよ!!!

あさ月は本番に強いタイプで、追い詰められると力を発揮するので後で調べたらうろ覚えや勘で答えた問題もほとんど当たっており、正答率は9割前後ありそうだった。そんな本気出すことなかったんだ…

「なので、この後手続きに必要な書類をお送りしますので、揃えて提出してください。一部は村山部長に出していただくことになると思いますが。今日はこの後面接で、終わったら私、そちらで仕事してますので声をかけて帰っていただいて結構です」

「わかりました、ありがとうございます」

面接は人事部のそこそこ偉い人とおぼしき男性と一対一で行われ、「正職員となるにあたって、どのような意識でいるか」「自分の長所と短所を一言で表すと」など就職面接にありがちな質問を受けたが、採否に関係しないとあってリラックスして受けられた。全て終わってから実は出来レースでしたと打ち明けられるよりは、せめて面接の前で良かったと思おう。

面接終了後辞去して某講座に戻り、内藤先生に首尾を報告する。まずは採用がもう決まっていると言われたということで、それは良かったと喜ばれた。
続いて採用試験の問題が難しかった話をすると
「難しかったんだ?!」
試しにいくつかの覚えている問題を例に挙げる。
「…それ、教員にやらせたらやばいんじゃない?みんな学校の勉強から遠ざかって久しいしさ」
「かもしれませんね」

あさ月の問題用紙だけ付箋がついていた件については、大卒用なのではないかということだった。W大はケチなので給料の高い(※W大内での相対的なものであり、絶対値としては決して高くない)大卒は基本的に事務職員としては採用したがらず、高卒を採るのだという。
しかしW大では英語で宛名の書かれた封書が「宛先が読めない」という理由で数ヶ月間放置されていたりする事態が発生するのだが、これが大卒職員なら…うーん、名ばかりの大学で4年間遊び暮らして自動的に卒業したような形ばかりの大卒なら高卒でもあまり変わらないか…でももっとまともな大卒だったらあるいは…
ていうか何卒でも構わないから英和辞書が引ける職員を採用してくれればいいだけの話で、現場が採用試験の問題を作成したら、各講座名の英語を載せ、辞書持ち込み可で和訳を書けという問題にするのに。
ま、そういう試験問題を作らない(作れない?)ところが既にW大クオリティなんだよなあ。

「それで本当に採用になる感じなので、具体的に4月からの仕事ってどうなりそうですか?前に村山さんは『しばらくは仕事もないので、今まで通りここで仕事をしてもらうことになる』って言ってましたが…」

「それなんだけど、やめた方がいいと思う。正職員となったらあの人が黙ってないと思うんだよ」

あの人とは意地悪な准教授のことである。性根が意地悪で縄張り意識も強くさらに内藤先生を敵視しているので、弱みがあれば容赦なく攻撃してくる。

「緑川さんがここにいたら、『病院の人間がなぜここにいるのか』『パソコンや空調の電気代をこちらもちにするのはいかがか』みたいな難癖つけてくるよ、絶対」
「あー、目に浮かぶようですね~~~(- -;」
「それに研究サポートセンターの他のメンバーからも、人材の囲い込みって言われちゃうと困るしね。だからサポートセンターの方に行ってもらって、自分が必要なときに仕事を頼むっていうのが一番問題ないと思うんだよ」
「そうですね」

納得はしたが、それならこの部屋で一人仕事をする生活は唐突にあと2週間ほどで終わりを告げるわけだ。
やっとのことで正職員としての採用が決まり晴れ晴れとした気分だったが、この気楽な日々を手放す寂しさと新しい生活への不安が少し影を落とした。

(つづく)

   
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2014年05月18日 12:00
専業主婦やめます・ファイナル!〜なんか難関っ
 ( あさ月さんのプロフィール)
いよいよ採用試験が始まった。
5人の受験者はコの字に並んだ会議室の机に最大の間隔になるようばらばらに座らされ、人事部の男性職員によってそのそれぞれに問題用紙と回答用紙が配られていく。
その様子を眺めていると、1セットだけ付箋のついているのが目に入った。あれだけ何か違うのか…?

男性職員はあさ月のところに来ると、付箋をピッと外してその答案用紙をあさ月の前に置いた。

何となくそうじゃないかと思ったよ!!

「では時間になりましたので始めてください」

と声がかかり、問題用紙を開く。

(むむっ)

漢字の読み書き問題からだが、記述式だ。どうせこんなもん択一式だろうと高をくくっていたのに。
まあ、あさ月国語は得意なので本気を出せば漢字や物語の読解などはどうということはない。
しかし

「下の選択肢から適切なものを選び次の()を埋めよ。

 ( 1 ) ー 伊勢物語 ー ( 2 )時代
  清少納言 ー ( 3 ) ー ( 4 )時代
  志賀直哉 ー ( 5 ) ー ( 6 )時代
 ( 7 ) ー 金色夜叉 ー ( 8 )時代
          :

ア 紀貫之 イ 在原業平 ウ 二葉亭四迷 エ 尾崎紅葉 オ 三島由紀夫 カ 更級日記 キ 枕草子 ク 月に吠える …」

…難しいじゃねーか!!
しかも選択肢の数が解答枠の数より多い。つまり消去法が利かない。めんどくさいことになってやがる…。
伊勢物語は在原業平による歌物語、だよな…これは大学の国文学でも習った。けど、近代文学はちょっと…(汗)

とりあえず先に進むが、やれ公民だの政治経済だの、ミョウバン水の濃度の計算だの英語のことわざだの…

まさしく学校で習うような知識を問う問題のオンパレード。

新卒用なのかな?と思うが、新卒用だとしてもこんな問題でいいんだろうかと甚だ疑問だ。
最初の方に出てきた、「疾病」の読みを問う問題は「あ、医学部では頻出ワードかも」と思った。
こういうもっと仕事に役立ちそうなことを聞けばいいのに…。
政治経済がマジでさっぱり分からないので苦し紛れにそんなことを考える。だって医学部の事務とスタグフレーションとなんか関係あるか?!

なんとか全ての解答欄を埋め、時間が来て試験終了。
この後は人事部の方に場所を移して面接だという。
荷物をまとめて(あさ月ともう一人制服の女性は最小限の物しか持っていなかったが)、人事部の人の後をカルガモのように一列に並んでついて歩く。あさ月は知った場所なのでもしはぐれても迷わない自信があるが、外部からきたとおぼしき人などは面接終了後帰り道が分からなくなったりしないんだろうかとお節介な心配をする。いやだって自分だったら絶対迷うし(ヲイ)

控え室代わりの部屋に通されたが、「では緑川さんがトップバッターですので外でお待ちください」と一人薄暗い廊下に出された。
そこに一人の女性職員が近づいてきて、

「実は…」

(つづく)

   
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2014年05月07日 12:00
専業主婦やめます・ファイナル!〜ルート
 ( あさ月さんのプロフィール)
「えーっと、予算がこれだけで、やりたいことは研究データの解析と…」

助教の香川先生のパソコン選びに付き合うあさ月。希望を聞き、おおよそ必要なスペックを頭に入れながらメーカーサイトを巡りめぼしい物をピックアップ、ハードコピー(メールで大学に提出するときのため)・プリントアウトを繰り返す。結構・かなり・めんどくさい。
しかしあさ月には一つの目的があった。
大体パソコンの候補が定まったところで切り出してみる。

「…香川先生って、外来棟には詳しいですか?」
「まあ、それなりには」
「実は今度正職員の採用試験が外来棟の6F会議室であるんですけど、場所がさっぱり分からないんですよ」
「じゃあ教えてあげるよ、パソコンのお礼に」

ぃよっしゃあああ!!

香川先生は元臨床の先生だから、外来にも出ていたはずで外来棟の土地鑑もあるに違いないと踏んだのだ。

早速道案内をお願いし、連れて行ってもらうことにした。

「えーっと、医学部棟からだとこっちから行って…ここから入って」

と香川先生が向かっていく先には大きく

「救急車入口」

と書いてある。

あー無理。無理無理。あさ月一人では絶対そこから入ろうという発想にならない。一人で道を探していたら一生たどり着けない。これは今のこのルートが正解だったんだとしみじみ思う。
救急車が通るのであろうスロープの脇の狭い通路を通り、守衛室の前を通過。
守衛さんも、中ですれ違う医療職の人たちも香川先生の白衣を見て
「おつかれさまです」
と挨拶する。病院の中はやはり白衣でないあさ月は異端者だ。いくらW大の職員IDカードをつけていても心許ない。

ところであさ月は白衣(の人)が好きだ。デレデレしてしまう。古い言い方をすれば「萌え~」である。
しかしよく考えると、デレデレする条件があるようだ。
1.中身の年齢 30≦, 45>
 これは以前はもっとレンジが下に広かった。しかし自分が年を取るにつれ、20代が頼りなく見えるようになってきてしまって萌えなくなったのだ。
 もっとうんと年上の白衣はそれはそれで素敵だが、萌えとは違う。(言い切った)
2.医師免許の有無 有りが無しに対して優位
 工学部などでも白衣を着る人はいる。だからあさ月の母校には医学部はないが、白衣の人は時々見かけた。しかし何かが違うのである。よく観察すると化学実験用の白衣は袖口が邪魔にならぬよう絞って割烹着のようなスタイルになっている。なんかダサい。それが原因の一つと思われるが、それだけでもなさそうだ。
 医師免許=高学歴であることが条件に入っているのかもと思う。(本当は医学部もピンキリなんだけど…)

上記条件を満たしていれば中身の他の条件は特に問わない。香川先生とか外見はチビノリダー系統だが(でもチビノリダーの伊藤淳史さんは「チームバチスタ」(ドラマ)シリーズで主人公の田口先生役のはず)なんのその。
ていうか上記条件に性別が入っていないが、実際性別を問わない感がある。女医さんでもデレる。ちょっとアブナい。

さて。話を戻そう。
しばらく廊下を行くと、ガラス戸の向こうに「職員用エレベータ」という表示が見えてきた。

「このエレベータだったら、ほら」

香川先生は△ボタンを押してドアを開ける。中を確認すると、行き先ボタンが[6]まである!

「これで行けます!ありがとうございましたっ!」
「じゃあ当日頑張ってね」

それから2日後、ついにその当日がやってきた。採用試験だ。学科試験と適性試験と面接があると聞いている。
道はもう分かっているが(念のためあの後同じ道順で戻ってもらい、おさらいもしている)、一応余裕を持って15分ほど前に試験会場前に着いた。
その時点で既に廊下の端のソファに腰掛ける、W大事務職員の制服を着た女性がいた。彼女のIDカードを収めるケースにはかなりの年季が入っているようだし(色がくすんでいる)、何の苦もなくここにたどり着いている=学内に精通している様子なので長く勤めているのではないだろうか。でも嘱託職員か何かで今度正職員になろうということなのか。
この二人で試験を受けるのかと思ったが、しばらくするとリクルートスーツを着た若い女性が一人、二人とやってくる。一般人?だとしたら彼女らは一体どこをどう通ってここに来たのだろう。一応職員であるあさ月でさえもびびる「救急車入口」から一般人が入れるとは思いにくいが、別のルートがあるのか誰か人事部の人の手引きがあったのか定かではない。

やがて人事部の人とおぼしき制服姿の女性が現れる。会議室のドアを開け、照明や空調をセットした後
「ではお入りください」
と私たちに声をかけた。
さあ、試験の始まりだ。

(つづく)

   
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2014年05月06日 12:00
専業主婦やめます・ファイナル!〜関門あらわる
 ( あさ月さんのプロフィール)

センター長から「次のアクションを待っていてください」と言われて1ヶ月近くが経過した。
待っているが特に何も起こらなかった。
強いて言えば「データマネージャーの仕事に必要な物品をお知らせください。手配します」との話が内藤先生を通じてあり、ハイスペックのPCやラインマーカー・付箋などの文房具を調べてリストアップしたくらいだ。
物品までこちらの言うなりに用意してもらえるくらいなのだからこれはもう決まりってこと?と思っていた3月中旬のある日、自宅で夕食の準備をしていると携帯が鳴った。
ディスプレイにはW大学の代表番号が出ている。

「もしもし?」
「もしもし、緑川さんですか。私、W大人事部の水野と申します。研究サポートセンターのデータマネージャーの件で、採用試験を行いますのでご連絡しました」

採用試験キタ━━━━━(゜∀゜)━━━━━!!

そういえばもう2年近くも前、嘱託職員としての採用話があった頃事務方の村山さんが
「おそらく来月の中旬頃に呼び出しがかかって試験と手続きということに」
ってなことを言っていたなあと思い出す。今まさしく中旬だ。そして試験日は3日後だという。いきなりだな!

「場所は外来棟の6F会議室Bです」
「わかりました」

日時と場所をメモり、お礼を言って電話を切る。
えーーーーっと、外来棟って…どれだっけ…。

翌日出勤して内藤先生に報告する。

「ああ、よかったじゃない。完全にそういう採用システムの流れに乗ってしまえば、村山さんの一存で先延ばしとかなくなるからさ」
「そうですね…でも採用試験に落ちたらどうしようかと」
「落ちないよ。人事部とかとんでもなく使えない人間が山ほどいるけど、あれが全員受かってるんだから」
「まあ…そうでしょうか…。ところで外来棟の6F会議室ってご存じですか」
「外来棟ってあのコンビニがあるあれじゃない?でも中は分からないな」

内藤先生も外来棟には詳しくないようだ。

昼休みに試しに外来棟に出向いてみる。初めて入るがなかなか綺麗な建物である。リウマチでかかっているT大病院より綺麗だ。比べてどうなるものでもないが。相手は中身が日本最高峰だしなあ。(でも実は自分が受けている診察・治療に関してはあんまり最高峰という感じもしていない。先生によるのか、あさ月のリウマチが大して重くないからか)

エレベータを見つけたが、4F止まりということに気づく。エスカレータも同じで4F止まりだ。患者様と同じアプローチでは入れないようだ。考えてみれば職員用の会議室なんて「STAFF ONLY」であろうから当たり前である。
うーん、どうしたものか。
とりあえず一旦医学部棟の某講座に戻った。

戻ると内藤先生のところに助教の香川先生が来ていた。
助教の先生は数人いるが、この香川先生は一番まともな人である。真面目で仕事が出来、空気が読める。元は臨床の先生(いわゆるお医者さんとして患者さんを診る人)だったが研究がしたいということで某講座にやってきた。だから助教の先生の中では年が少し上だ。(といっても30代半ばくらい)
しかしその経歴や優秀さを意地悪な准教授に妬まれ虐められ、教授からはパワハラを受け、とうとう別の大学に移ることに決めたそうである。唯一と言って良いまともな人なのに…。
そこで香川先生は次の大学で使うパソコン選びの相談に乗って欲しいという。内藤先生は医学部の中ではIT系に詳しい方だ。というか、医学部の他の先生がかなり疎いのだ。そこで内藤先生があちこちから頼られることになっている。

内藤先生はふとあさ月を見て
「そうだ、緑川さんに聞くといいよ。緑川さんは元SEだし、自分より詳しいから」
と香川先生に言った。

先生…自分が面倒な仕事を振りましたね…。

香川先生は「そっか、よろしくお願いします(^^)」と頭を下げている。
「いえいえ」と答えながら、ふとその白衣姿を見てひらめくものがあった。

(つづく)


   
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2014年05月05日 12:00
専業主婦やめます・ファイナル!〜面接?その2
 ( あさ月さんのプロフィール)

新たな職場となるセンターの一番偉い人である教授といよいよ面談?面接?である。
「初めまして」
挨拶を交わした後、勧められて着席し
「こちら、履歴書です」
クリアファイルに入れた履歴書を差し出す。

この履歴書であるが、その前に事務方の村山さんにも提出している。PCで作成したのでいくらでも複製できるから大した手間ではない。
当初内藤先生に聞いたことがある。
「履歴書って、手書きの方がよかったりします?」
たまに某女性専用掲示板の「仕事探しについて」コーナーを見ていると
<履歴書は手書きすべきですか?>
<手書きの方がいいと思います。私は採用にも携わっていますが、我が社ではPCで作った履歴書は一発ではねますね>
なんてやりとりがある。

「うーん、手書きが良いってその変な根性論みたいなのどうかと思うよね。
 履歴書から欲しいのは情報なんだよ。どこの大学を出て、何を勉強して、どういう仕事をしてきたかって情報。そこに手書きか印刷かってことは関係がないわけ。
 結局手書きであることを重視するところって、誰にでもできる仕事ってことでしょ。そんなことが選考基準にできるんだから。ここは、曲がりなりにも専門職なんだよ。仕事ができなきゃ話にならないし、実績があってその情報が得られればそれでいいの」

というわけで遠慮なくPC作成である。
ちなみにIT業界も、特に若手の多い小さい会社は手書き履歴書にこだわらない傾向があると思う。ただし、「PCで履歴書を作ればPCができるというアピールになる」という説も見かけるが、システム屋やプログラマは設計ができたりプログラムが組めたりしてなんぼなので履歴書ごとき作れても何のアピールにもならない。
まあ、大学にせよIT業界にせよ特殊な部類かもなとは思う。一般事務の求人では履歴書で手書きの文字の綺麗さ丁寧さを見るという説もあるから一概に根性論と片付けることもできないだろう。

閑話休題。
履歴書を眺めて大河内教授は独り言のように問う。
「ええと…卒業したのは総合科、学部…?」
学部が珍しいので、医学部の他はせいぜい看護学部と薬学部くらいにしか縁がないであろう教授にはピンとこない様子。
しかしなるほど名前のぱっと見では何をやる学部か全く分からないし、実際学際学部(分野の境界をまたぐ学部)なので本当はばりばりの文系であったことをごまかすことも可能だと気づく。昔の自分よナイスチョイスだ。
もっとも今の母校にはもう存在しない総合科学部である。あさ月の卒業後すぐに学部を解体して文学科と理学科に分けるようなことを言っていて、実際分けたのだったかどうだったか分からなくなるくらいその後学部再編を繰り返し学部名も専攻の配置も二転三転、今では履歴書に
「総合科学部総合科学科卒業(現:○○学部○○学科)」
と書こうにも○○に何を埋めて良いのか、今の母校のホームページを見てもすぐには分からないという有様である。ちょっとひどくないか。

「ふーん、どこでこういう(データマネージャーの)知識を身につけたのかなあ」
教授は履歴書から医学の香りがしないので不思議そうである。
「そうですね、大学で実験系をやっていたのでそこでデータの統計処理を少しと、後は仕事でデータベース系を扱っていましたので…」
本当のことだが、実際は今の仕事に直結するわけではない話だ。けどそういうことにしておく。
面接だけ乗り切りゃいいのさそうさそうさ。
…以前六本木でプログラマとして働いていたとき、チームに一人著しくプログラミングができない人がいた。ブランク9年のあさ月をはるかに凌ぐ危なっかしさである。「あれは実はプログラミングなんてしたことがないのでは?」と陰で囁かれていた。
「でも彼、VBAもJAVAもバリバリらしいからね(笑)。面接でそう言ってたもん」
とチームリーダー。
「マジですか?!」
面接なんていくらでもごまかせるのだなあとこのとき学習したのだが(ヲイ)、ごまかして仕事に就いたら自分自身も困るがそのフォローをする周囲は100倍困るんだとしみじみ思ったのに…。(いや、今回のあさ月の場合はあれほど真っ赤な嘘というわけではないよ)

あとは今は内藤先生の研究補助(データ処理)をしていること、今の臨時職員としての契約は3月で切れること、出身は関西であるがUターンする予定はなく長期にわたって働けること、などが確認され
「それでは事務長に話を通しておきますので、次のアクションを待っていてください」
と締めくくられ、面接は終了した。

(つづく)

   
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2014年04月13日 12:00
環境激変につき
 ( あさ月さんのプロフィール)
年度が替わって環境激変につき更新が滞っております…。
実は今年度から長女の小学校のPTA本部役員(しかも三役)を引き受けてしまい、そちらの仕事が入ってきているのも原因。まあ、まだ今のところ2年目の役員さんが仕事を引き受けてくれ、新人の私は暇な方なのですが。むしろ会計や書記は既に仕事が発生しているのに対し、一番仕事してないような。

そんなわけで小ネタを。
次女(幼稚園年中)の一言。

「おぼかたさんじゃない!!
お・ぼ・か・た・リー・ダー!!」

確かによく見ているNHKニュースでは「小保方(ユニット)リーダー」と言われることが多いので、他のニュース等で「小保方さん」と言われると違和感があるのだろう。

その小保方さんリーダーの話題、某女性専用掲示板で見ていると「元理系」「大学院卒」というような経歴の人たちが「あり得ない」「最低」と発言していることが多い。
だがW大のあさ月の周囲では少し違う感じで

「そこまで叩かれるようなこととも思えない」
「コピペなんて言い出したらキリが無い。自分(研究者)も『おいおいこれ自分の文章のコピペじゃねーか』ってのを見かけたことがあるけど、いずれ同じ事実について書くなら似たような文章になるんだから。もういいかってスルーした」
「画像の切り貼りって、写りが悪いのを良いのに差し替えたのかもよ?まあやって良いか悪いかっていうと悪いけど、悪意を持ったねつ造っていうのとも違うよね」

そして
「STAP細胞、あればいいよね」

という風なところでまとまる。

とりあえずSTAP細胞の存在そのものがまるっきりねつ造だったとしたら、そんな嘘をあれだけ世界的に発表しちゃった瞬間から夜もおちおち眠れなくなると思うので、全部ねつ造ってことはないのでは…という内藤先生の説に同意する。


   
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2014年03月22日 12:00
専業主婦やめます・ファイナル!〜面接、か?
 ( あさ月さんのプロフィール)
新たな所属先となるセンターの長(教授)から「一度お会いしたい」と言われ、アポを取るために内線電話をかけたあさ月。呼び出し音3回ほどで

「はい、大河内教授室、秘書今野です」

うおおお「教授室」だって!教授室付き秘書だって!超かっこいーーー!!と内心盛り上がる。ちなみに今いる某講座には教授はいるが秘書は講座秘書さんしかいない。部屋は教授だけのために一部屋あるが、電話は自分でお出になるのだろう。この微妙な?差は臨床(患者を診る医者)と基礎(研究をする研究者)の違いから来るのだろうか。
それはおいておいて、つっかえつっかえ「仕事の件で大河内教授から一度お会いしたいのでアポを取って欲しいと言われた」旨を説明すると

「明日でしたらお時間をお取りできると思うのですが、緑川先生のご都合はいかがですか?」

ぎゃーーーーーー!!!やめてーーーーーー!!
大河内教授のお客様という扱いなのだろうけど先生じゃないです!むしろ今はただのパートなんであなた(秘書さんは多分正職員)よりも身分(?)は低いです!!
…と訂正するのも変なのでそのまま話を聞くが、ものすごく落ち着かない。

「それでは明日2時のお約束ということで」
「はい、よろしくお願いいたします。それで、すみませんそちらの場所なんですがどのように参りましたらよろしいでしょうか」
「先生は今医学部棟にいらっしゃいますか?」
「はい、そうです」(…落ち着かないなあ)
「でしたら正面から出ていただいて、道路を渡って、茶色っぽい建物の病院2号棟から入っていただくと、左手に『神経内科』はこちらという看板が出ていますのでそれに従って曲がっていただき、まっすぐ行くと柱の向こうにまた『神経内科』という矢印のある看板があるんですが、柱が邪魔で見づらいです。でもそれを超えて矢印の通り右手に行かれますと医局がございます。そちらでお声をかけていただければ、私がお迎えに参ります。
2号棟を通らずに来られる場合は、道路を渡って右手に折れて角の健康増進センターを左に折れてしばらく行った先の建物ですが、こちらから入られると医局は2階になりますのでお気を付けください。2号棟から来られると同じフロアなんですが、建物の高低差の関係でそうなっています」

…とりあえずメモを取ったが、正直わからん。後で内藤先生に聞くと

「ああ、あれは外側から行って、入口の守衛さんに『大河内教授の部屋に行きたいんですが』って言うのが早いよ」

なるほど。

さて翌日午後1時45分、数日前に楽天のお買い物マラソンで買った4999円のパンツスーツに身を包み部屋を出た。
所詮学内の移動だからと思って防寒着は着ずに出たが、寒い!!
スーツが安物で薄いからばかりではない。記録的大雪のあった時期の話である。
外側から行くつもりだったが寒さに耐えかね、道路を渡ってすぐの病院2号棟に飛び込んだ。道に迷う不安はあったがやはり建物の中は暖かい。
すれ違う人たちが
「おつかれさまです」
と挨拶してくれる。そうか、W大職員IDカードを首からかけているからか。臨時職員でもカードの見た目では分からないので、こいつはなかなかの威力だなと感心する。なお六本木で仕事をしていたとき、プロパー社員と下請け(&下請けの下請け)ではIDカードをぶら下げるストラップの色が違っていた。プロパーはオレンジ、下請けは青である。ストラップの幅は広く、一目で区別がつく。自意識過剰かもしれないが、トイレ掃除のおばちゃんの態度ですら青ストラップのあさ月とオレンジストラップのお姉さんたちへのそれとでは何となく丁重さが違い、「冠位十二階」を思い出した。社会的地位が視覚的に他者からもやすやすと分かるというのは善し悪しがありはしないか聖徳太子さん。

そんなことを考えながら「神経内科」の看板をたどって歩いた。やがて廊下の様子が変わり、ふと気づくと通り過ぎようとしているドアが「神経内科医局」だった。いつのまにか連結部分を越えて目的の建物に到達していたらしい。
数歩引き返し、通りかかったW大事務の制服を着た女性に「すみません、2時にお約束している緑川と申しますが…」と声をかけると
「ああ、お待ちしておりました。迷われませんでしたか?」
その人こそが教授秘書さんだった。事務員の制服(グレーのベストとタイトスカート、いかにも「事務」という服である)はちょっとイメージが違って勝手に一人がっかりする。もしかすると向こうもあさ月が「先生」という風情ではないのでがっかりしたかもしれない。痛み分けである(勝手に決めている)。

「ではこちらでおかけになってお待ちください」
と応接室に通された。建物自体が古いので壁やドアは古ぼけた感があるが、窓から差し込む陽光は明るくソファはふかふかだ。うーん、全体に日当たりの悪い某講座に比べるとやっぱりデラックス。

その時、あさ月が入ったのとは別のドアが開いて、グレーの髪に鷲鼻のまさしく「教授」という印象の男性が現れた。
「は、初めまして」
慌てて立ち上がり礼をした。

(つづく)

   
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2014年03月17日 12:00
専業主婦やめます・ファイナル!〜再始動
 ( あさ月さんのプロフィール)
さて、現在W大の臨時職員(アルバイト)として働くあさ月。一時は正職員にという話があったが予算が取れずに話が頓挫、とりあえずバイトとして入り込み様子を見ることにしたのだ。
(興味のある方は過去記事「専業主婦やめます・もう一回!」というタイトルの記事群をご覧ください)

そんな1月半ばのある日のことだ。ちなみに事務方の村山氏は「(仕事の話が決まるのは)早くても12月…」と言っていたが12月には何の音沙汰もなく年が明けていた。

リサーチサポートセンターの会議から帰ってきた内藤先生が言った。

「データマネージャー(あさ月の仕事)の件だけど、今度は枠を確保しようとしてるって話だよ。
 今までは人ありき(あさ月をねじこもうとして)で上手くいかなかったけど、まず採用枠を一つ確保する方向にしたんだって。病院の予算を使ってやるみたいだから、上手くいくかも知れない。大学の予算は国からの補助金も多いからガチガチに使い道が決まってて融通が利かないけど、病院は自由度が高いから」

ほう、朗報らしい。しかし大学の方はそんなに融通が利かないのかと問うと、なんと先生方の給料の半分は元を正せば国から出ているという。私立大学なのに…医学部恐るべし。

「けど、まあここ(W大)のことだから期待しないで」

だよねー。だって一年前には既にあった話なのに未だに具現化してないんだもんねー。

それでも1月末になると
「この間の採用枠の話、進んでるらしい。あと2つ会議を通れば本決まりになって3月から募集を開始するって」
「一つ目の会議を通れば、後は理事会だけどこれはもう形だけだから」
「大河内教授(センター長)に、以前候補になっていた人はまだ来てくれるだろうかと聞かれたよ。実は今臨時職員として働いてもらってて、3月末までの契約だって言ったら『じゃあちょうどいいじゃない』って言ってたけどね」
とまともに話が動き始めた様子であった。まああさ月は部屋にこもって仕事をしていて、会議に出た内藤先生の土産話(?)を聞いているだけなのだが。

そしてついに2月初旬の仕事中、
「ちょっと聞いてて。大河内教授からメールで、理事会も通って話が確実になったらしい。『月給○○万、年収○○○万、手当・賞与等未定。この条件で受けてもらえるか候補者の人に聞いてください』だって。受けますか?」

話キタ━━━━━(゜∀゜)━━━━━!!

給料はそれほど高くないが、正職員の安定性と福利厚生はプライスレスだ。それに4月以降行くあてがあるわけでもなく、受けない道理がない。

「はい、受けます」

「じゃあそのように返事しておきますね」

ほどなくして

「大河内教授が、『候補者の人に一度お会いしたい』って。日程を調整してくださいって書いてあるよ、はいこれ」

内藤先生がメールをプリントアウトしてくださった。
メールには「秘書の小林(仮名)に連絡ください。内線番号・・・・」と書かれている。

教授秘書

なんちゃって秘書もどき(一応仕事は研究補助であり秘書ではないのだが、内藤先生の留守中に来客があればごく簡単な応対くらいはする)のあさ月には恐れ多い響きである。
第一内線電話を使うこと自体滅多にないので敷居が高い。
それでも仕方ないので電話することにした。メールのプリントアウトとメモ用のペンを片手に、廊下にある電話機の受話器を上げた。

(つづく)


   
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2014年03月06日 12:00
脱落る
 ( あさ月さんのプロフィール)

3月3日はひなまつり。実家の母が果物や他のお菓子と一緒にひなあられを送ってくれた。ここ東京では入手できない、醤油や海老・海苔などカラフルな(甘くない)関西バージョンのひなあられである。しかし「チョコレート」(チョコレートコーティングされたあられ)が入っていることが何とも歴史の浅さを感じさせる。真の関西バージョンひなあられはいずこ。

とにかく子どもたちは喜び、次女は「ひなあれ!ひなあれ食べたい!」と言っている。

「ひなあられ」の「ら」が脱落している。

まだ3歳だった昨年はちゃんと「ひなあられ」と言っていたように思うのに、なぜ逆行するのだろう。

もっともそのとき夫ハカセから携帯メールが届き

「タイトル:今から帰る
 本文:パソコンを切ておいてください」

「切って」の「っ」が脱落して怪しい日本語になっている。
それに比べたら幼稚園児の口語が少しおかしいくらいどうということはない。

しかし本当にどうやったら脱落させられるのか知りたい。「きって」で変換してないのか?


   
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2014年02月24日 12:00
3歳児がいたら実験してみてください
 ( あさ月さんのプロフィール)
もし今あなたの周囲に幼稚園・保育園で言うところの3歳児(年度初めの4月1日現在で3歳という意味なので、今は年度終わり近くの2月だから大半は4歳のお子さん)がいたら
「はさみを使うまねをしてみて」
と言ってみてほしい。

まず、もしこれを読んでいるあなたがそう言われたらどうするか。
大抵は「エアはさみ」を使う動作をするのではないだろうか。「だって、『はさみを使うまね』でしょ。当たり前じゃん」とお思いだろう。
ところが3歳児は違うのだ。
うちの次女(4歳幼稚園年少)に「はさみを使うまねをしてみて」と言うと

じゃんけんのチョキをちょきちょきと動かす

のである。Vサインの人差し指と中指を開いたり閉じたりする。

これ、自分が大学生の頃、同じ先生についていた別の子がテーマにしていた実験だった(確か元は先生自身がやっていたテーマだったか…)。その頃はふーんとしか思っていなかったが20年も経った先日ふと思い出し、そういえば今次女がちょうどその年頃だなとやってみたら本当にチョキを動かしたのでびっくりした次第。
なお長女(8歳小学2年生)に同じ指示をすると、大人と同様にエアはさみを使った。
確かその境界線(チョキを動かす|エアはさみ)は年中~年長あたりに存在すると聞いたような気がするが定かではない。

ついでにどういう理屈でそうなるのかもさっぱり定かではない…。(忘れた)
気になる。


   
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2014年02月21日 12:00
道しるべ
 ( あさ月さんのプロフィール)
仕事中のこと。昼休み、買い物に出た。
最近仕事場の近くにスーパーができたので、昼休みに晩ご飯の材料などを買っておけるようになった。ブロッコリーやら大根やら生活感あふれる品々をエコバッグに入れて電車に乗らなければならないという問題はあるが。あと、肉や魚のような「要冷蔵」のものは買えないのが残念だ。

で、その日は郵便局に行く用事もあった。郵便局もスーパーもそれぞれ単独では行ったことがあるが、地図で見ると通用口→郵便局→スーパー→正面玄関と一筆書きで行けるようだ。効率が良さそうなのでそのルートを採用した。

ところが、郵便局を出て、初めての道に足を踏み入れたところ方向を見失った。あれ?こっち?まっすぐ?
不安になるあさ月の視界に白い車体が入った。
ボディには「東 京 消 防 庁」。サイレンは鳴らしていないが救急車だ。行く先を見守ると、左にウインカーを出した。
(ならば…こっちだ!)
救急車と同じ左に曲がると、見知った景色が現れた。W大に続く道である。
そう、W大附属病院は救急指定病院(三次救急)なので救急車が頻繁に訪れる。通勤途中にそのサイレンを聞くことも日常茶飯事。
すべての救急車はW大に通ず。

…なわけもなく、W大病院に患者さんを運んだ帰りの救急車だったらどうするんだよと自分にツッコミつつも今回は結果オーライということで。
救急車よありがとう。患者さんのご快癒をお祈りします。


   
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2014年02月19日 12:00
おみくじ
 ( あさ月さんのプロフィール)
次女が
「おみくじ、ママ引いて~」
と言う。
手にはティッシュペーパーの芯。左手で芯の胴体(?)をつかみ、右の手のひらで底を塞いでいる。中には別のトイレットペーパーの芯を縦4つほどに切って作った短冊が入っているようだ。

「目をつぶって引いてね(^^)」

まあ、そのままだと中身丸見えだからな。

言われたとおりにして、引いた短冊を見ると長女の字で

「中ちき」

中吉ね…「吉」の字はまだ習っていないから…じゃなく「ちき」って何だ!!


他の3枚も取り出して確認すると

「小ちき」
おまえもか。

「大きち」
あ、これは合ってる。

「せいきち」

人名か!!
(「すえきち」のことらしい)


脱力するおみくじだった…。



   
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2014年02月17日 12:00
集合体
 ( あさ月さんのプロフィール)

先週、すっかり暗くなった雪道を次女の手を引き歩いて帰っていたときのことだ。(参考記事→■ )
道路の端を歩いていると、雪に小さな穴が多数穿たれている部分に出くわした。直径30~40cmくらいの円内にびっしり小さい穴があるのである。
「ひぃ!」
あさ月は不規則な点々とか多数の穴が怖い。特に白地に黒や赤の点々がダメなので、都会の雪に穿たれた穴はアスファルトが透けて黒いので最悪だ。
それなのに歩いて行くとまた同様の穴の群れに出くわした。
「!!!」
涙目である。

3度目に出くわしたとき、ふいにひらめいた。そうだ、もう日も暮れてこんなに暗いのにどうしてこの穴の一群は目立っているのだろう。それは、街灯の光がスポットライトのようにこの穴達を照らしているからだ。というより、この穴は決まって街灯の真下にある。
街灯に積もった雪が電灯の熱で融け水滴となって落ちて雪に穴を穿ったのだ。

理屈が解ってちょっとすっきりしたが、…キモいことに変わりはない。
街灯の下だけは極力見ないようにして家路を急いだ。

この「点々が怖い」というのには「集合体恐怖症(トライポフォビア)」という立派な名前があるらしい。「高所恐怖症」「閉所恐怖症」などの仲間なのだそうだ。(ただし医学的にはまだ認められていないとか)
そう言われると「集合体」という言葉も何かキモいような気がしてくる。それは自分だけか。

自分だけ、といえばあさ月の妹ナッちゃんも同じ集合体恐怖症だが、両親はそうではなかったので長い間「点々が怖い」のはこの世で自分たち姉妹だけなのではないかと思っていた。子どもの頃に二人だけで何か穴に関する怖い体験をしたのだろうか?UFOにでもさらわれたか?と結構真面目に話し合ったりもした。(本当)
だから最近この「集合体恐怖症」を知り、「この点々怖いのって集合体恐怖症って名前あるらしいで。高いとこが怖い高所恐怖症みたいに点々が怖いってあるんやって」とナッちゃんに伝えると

「そうなんや!うちらだけかと思ってた!」
「なあ!UFOにさらわれたせいかと思ってたやんな!」
「そうやで!!」

と盛り上がり二人して安堵した次第である。UFOにさらわれてなくてよかった。


   
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2014年02月15日 12:00
雪の通院日
 ( あさ月さんのプロフィール)
久々に通院日の記録である。このところ病状に良くも悪くも変化がなく、通院間隔がとうとう3ヶ月近くまで空いてきているので滅多に病院に行かない。
が、その滅多に行かない日になぜか東京では数十年に一度レベルの大雪がかぶった。昨日だ。
今は仕事をしているので、通院に際しては
「次女の幼稚園の送りは夫に頼み、出勤前に朝一番で血液検査だけ済ませ(結果が出るまでに1時間以上かかるから)、診察予約は一番最後に入れてもらい退勤後最短コースで病院に向かい、待ち時間なしで診察・会計→幼稚園へお迎え(預かり保育の最終ぎりぎり)」
という綿密な(?)計画を立てていた。

その計画がまず前日夜の幼稚園緊急配信メール
「明日は大雪で休園も予想されますので、給食は中止とします。全員お弁当を持参してください」
で狂い始める。
お弁当作る分朝に余分な時間が取られるじゃないかよ!!金曜は給食だから楽だと思っていたのに!

仕方がないので早起きしてどうにか弁当を用意したが、家を出たときには既に雪は降っていた。T大構内には石畳が結構あるのだが、それにうっすら積もった雪を踏むと滑る。傘も差さねばならない。歩きにスピードが出ない。
時間に余裕がなくなり、血液検査の後
「ではまだ血が止まっていませんので3分間押さえてください」
「はい」
と言った舌の根も乾かぬうちに手を放してジャケットとコートを羽織りカバンを担いで退去。
おかげで遅刻はせずに済んだが、普段より皮下出血が大きくなってしまった。

仕事中にも緊急配信メールは入り、雪のため13時降園になるという。預かり保育はあるがなるべく早く迎えにくるようにと注意書きがある。

…ごめん…無理…。

今更診察日は変えられない。主治医の予約はいっぱいで、今日取れる予約は2週間以上後だがそれまで薬が持たない…。

実は今週、幼稚園の個人面談、祝日、そして次女の体調不良と立て続けに休んでほとんど仕事していなかったので仕事が溜まりに溜まっており目一杯それを片付けた後、時間ちょうどに退勤して駅へ急ぐ。
朝よりも雪が積もっている。おまけに暗くなってきていよいよ歩きにくくなってきた。予定到着時間を10分くらいオーバーしながら病院へ。既に呼び出しがかかった後で、待合室にも人はほとんどいない。受付で事情を説明して先生に伝えてもらうとすぐに診察室に招き入れられた。

「遅くなってすみません!!」
「いえいえ大丈夫ですよ。検査結果は…いつも通りかなー」

MMP-3 140(前回137 正常値より↑)
血沈 18(正常範囲内)
CRP 0.08(正常範囲内)

MMP-3だけがずっとこんな感じだ。一時は110まで下がったがその後前回今回と140くらいになっている。

「まあ、MMP-3だけだからね~。RAも血沈もCRPも問題ないし、腫れてるところもないから…リウマトレックスを増やす前は生物学的製剤も考えたけど、増やしてからは割といい感じだし。生物学的製剤でも壊れてしまったところは元には戻らないし、新たに腫れたところの関節破壊を防げるけど、今腫れてるところないからね~」

というわけで現状維持、次回診察も3ヶ月後となった。今日こんなに雪が降っているのに、次来るときには新緑の季節だというのだからなんともはや。
ちなみにこの寒さでちょっと膝が痛いと言うと、「患者さんみんなそうおっしゃいます。全員検査の数値は悪くなってないんだけど、痛いって」だそうだ。
しかしそれって検査と自覚症状がリンクしてないってことだよなあ…。

その後帰途に就き駅から直行で幼稚園に行ったが、雪+徒歩だったこともあり予定通りの預かり保育終了時間ぎりぎりで、次女は園長先生と二人きりで待っていた。他の先生は電車が止まる前に帰られたのだろう(園長先生は多分敷地内に居住スペースがあるので電車の心配はないからだろう。一応あさ月が乗った電車は全部定時運行されていたのだが)。
遅くなってすみませんと詫びると園長先生はいいですよ、それよりお母さん雪だらけよ、頑張って来たのね(笑)と優しく応じてくださったが、申し訳ないやら次女にも寂しい思いをさせたやらでもう…


雪め~~~!!!


   
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2014年02月07日 12:00
ソチ
 ( あさ月さんのプロフィール)

「全力応援。ソチオリンピック」

というNHKの宣伝を見た後で長女が言った。


「ねえ、ソチオリンピックって

普通のオリンピックよりスペシャル

みたいなこと?」


それってあれか、「セーラームーン」と「セーラームーンS」みたいな…

「パタリロ!」と「ぼく パタリロ!」みたいな…



単なる地名だよ!!



ていうか2つめに出した例はマニアックすぎる上に意味も違いそうだ。

(アニメのタイトルだが確か放送時間が変更になり、その際にタイトルもマイナーチェンジしたんだったと…)



   
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2014年01月31日 12:00
ないわ~(駄)
 ( あさ月さんのプロフィール)

今仕事がちょっと佳境に入っていて忙しい。

返送されてきたアンケート用紙をチェックするのが仕事なのだが、どうやら一人の人が二重登録されていて同じアンケートを2通送ってしまい、2通とも返送されてきていると疑われるものがあった。

チェックして怪しいところがあるものには付箋を付け内容を記すことにしている。

「ID309807(仮)と同一人物と思われる」と書こうとして


「ID309807と同人」


ないわー。こんなところで同人(オタクにとって同人イコール同人誌の略)とかないわー。

一人おたおたしつつ書き損じた付箋は即捨てた。


なおここで「同人」の後に「即」という字を見たら「即売会」が浮かぶあなたは残念ながら普通の人ではないと思います。あさ月とは多分同類です。



   
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2014年01月24日 12:00
園児の掟
 ( あさ月さんのプロフィール)
次女、幼稚園年少。
アニメ「アイカツ!」のエンディングテーマ曲を歌っている。
(オリジナルスター☆彡 作詞:こだまさおり 作曲:田中秀和(MONACA) )

♪みらいプロデュ~ス かくごしてね~

いつかぜったい

じぶんとの おやくそく♪


正しくは「自分との約束」である。


「約束」には必ず「お」がつく、それが園児の掟。


ところでこの歌を歌っているのは「わか・ふうり・すなお・れみ・もえ・えり・ゆな・りすこ from STAR☆ANIS」となっている。STAR☆ANIS(スターアニス)とは劇中でトップアイドル達により結成されたユニット名で、Tristar(トライスター:おそらく「3つの星」の意)とSoleil(ソレイユ:フランス語で太陽の意)という二つのユニットによる期間限定合同ユニットという設定だ。
スターアニスもスターとつくからには星に関係する言葉なんだろう、しかし大人であるあさ月も聞いたことがない単語で、どういう意味なんだろうなと思っていた。

そんなある日、薬の検索をしていてスターアニスという文字を見つけた。

スターアニス:八角と呼ばれる香辛料。八つの角を持つ星形をした実が特徴。インフルエンザ治療薬のタミフルの原料となることでも知られる。


香辛料!!


アイドルのユニット名が、香辛料…

いいのかそれで。アイカツ。


   
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2014年01月22日 12:00
やっぱり大変なのね
 ( あさ月さんのプロフィール)

土曜日は長女の小学校の公開授業だった。現在東京都の公立小学校では月1回程度の土曜授業が行われていて、その全ては基本的に公開授業になっている。だが、今回は地区公開授業ということで保護者以外の人も来られるし、授業終了後には懇談会や校長先生の講演会付きという若干スペシャルなものだ。

だが、金曜の晩に長女が言った。

「あのね、畑山先生、インフルエンザなんだって」

「ええっ」

畑山先生は長女の担任の先生である。推定50代女性、一年生の時から持ち上がりで2年近く担任していただいているが、お休みされることは滅多にない。それがよりによってこのタイミングでインフルエンザ。体調もだが子どもたちに感染を拡げるわけにはいかないから、明日の出勤はまず無理だろう。
しかしクラスの子どもの誰一人インフルエンザにはかかっていないのに、担任の先生だけがかかってしまうとはなんとまあ。

そして土曜日の朝、学校に向かう。運悪く夫が出勤なので、次女も連れて行く。学校は超近いのが救いだ。
教室に行き、先に来ていたクラスメイトのお母さんと「先生も大変ですね~、今日はどうするんでしょうね」と話しているうちに副校長先生がやってきた。
やはり担任の先生は無理で、副校長先生(推定50代男性)がピンチヒッターとして入るらしい。

「えーっと、それでは授業を始めますが、その前に出席を取らせてください。いつも顔は見てるけど、授業をするのは初めてだから、名前をきちんと知りたいからね」

一学年が20人前後、全校児童140人弱の小規模校だから校長先生や副校長先生も子どもたちの顔くらいは把握している。しかし…

「それじゃあまず、赤井…んっ?!いきなり難しいぞ!?ひりょう?」

「ちがーう!ひりゅうだよ!」

「おおごめん、そうかそうか、赤井ひりゅうくん!」「はーい」

「次は門野…これも難しいなあ…」

「しゅうまだよー」

今時の子どもたちなので、名前の解読が難しいのである。長女のクラスにはいわゆるDQNネームレベルの子はいないが、キラキラネームレベルの子は数人いる。また今時の名前の傾向として、読みは平凡だが漢字が特殊か、漢字は平凡なのに読みが人名としてトラディショナルではないかのどちらかであることが多い。どちらにしても読みづらいというわけだ。
今時の学校の先生は出席を取るだけでも大変だろうなーと常々思っていたが、やっぱり大変なんだなーと…。

副校長先生が安心して読めたのは「田中ひより」(ひらがな)ちゃんの名前だけだったかもしれない。
(一応長女の名前も詳しくは書けないがまず間違いようがないのですんなり読んでもらえていた。そして読めると子どもたちの間から「おおー」という歓声と拍手が起こっていた)


*文中の名前は全て仮名です


   
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2014年01月17日 12:00
ユリナとルリナ
 ( あさ月さんのプロフィール)

*文中登場する名前は仮名です。また、色々ぼかしたりフェイクを入れたりしています。

仕事で調査参加者リストをチェックしていた。子どもが対象の調査だが、質問に回答するのは大人(保護者)である。子どもは名前だけ登録されていて、その「子供名」フィールドのある辺りをざっと流して見ていた。するとふと

友理那
留里那

という並びが目に入った。ゆりなにるりな。ローマ字にしてもYURINAとRURINAだから頭の一文字しか違わない。非常によく似た名前だ。
(姉妹…双子ちゃんかな)
と思った。止め字の「な」も、「菜」や「奈」に比べて「那」とは少し独特で、揃えたのだろうと思われた。
双子なのか姉妹なのか確かめようと生年月日を見るため画面を横にスクロールして気づいた。
親の名前が違う。
住所も違う。
ゆりなちゃんの住所は東京だが、るりなちゃんは兵庫ではないか。
じゃあ、この二人は赤の他人なのか。
リストは登録順に並んでいる。つまり遠く離れた地に住むよく似た名前の二人の子の親が、それぞれたまたまW大がやっているこの調査に参加しようとほぼ同時期に考え、相前後して登録したということだ。しかし見れば二人の生年月日も1ヶ月しか違わない。
何という奇妙な偶然。

けれど、この偶然はこのデジタルファイルの中にしか存在しないのだろうか。二人とも、日本のどこかに自分とよく似た名前の、誕生日も1ヶ月しか違わない誰かがいることを知らずに一生を終えるのだろうか。

それともいつかどこかで――遠方の大学に進学したり、就職で支社勤務になったり、夫の転勤で引っ越したりしたときに再び偶然が起き二人の人生が交わることがあるのだろうか。

あさ月にはそれを知る術はない。


内藤先生にこんなことがありましたよと知らせると


「緑川さん、よくそういうの見つけるよね」


と言われた。

そう、実は他にもリストを眺めていて、「学」さんが大量発生している部分とか(ほんの10件ほどの間に3人学さんがいたのである。格段に少ない名前だとは言わないが、ものすごく多い名前だとも思わない。何より、他の部分にはそんな頻度で学さんはいない)


山田奈美子

田中美菜子

中田裕美


みたいな並びとか(市松模様っぽい)

時々発見しているのである。

それらの箇所では似た(同じ)名前の人が同時期に、調査参加登録という同じ行動をしているわけだ。


で、たどり着いた結論が



「姓名判断って意外と当たるのかも…」



医学部にあるまじき非科学的なものであった(笑)。



   
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